ネフローゼ症候群とは……むくみの症状が出る腎臓の病気

女医

ネフローゼ症候群の発見には、尿検査が必要です。尿にタンパクが大量に出ています


ネフローゼ症候群は、腎臓の病気のひとつ。腎臓はろ紙のような働きをし、血液からタンパク質が出ない状態を守っています。ろ紙の役割を果たしているのは、腎臓の中にある糸球体。血管が糸の集まった球になっているために糸球体と呼ばれています。

しかし、様々な原因で、糸球体の機能が落ちて、尿からタンパク質が出てしまうと、血中のタンパク質が減少します。血液中のタンパク質が減ると血液が薄くなり、余分な水分が体にたまって、体のむくみが起きてしまいます。ネフローゼ症候群の症状、原因、検査、治療方法について解説します。
 

ネフローゼ症候群の症状……浮腫・蛋白尿・高脂血症・低蛋白血症

■初期症状
初期の軽い状態では、下記のような症状が出ます。
  • 体のむくみ(浮腫)
  • 体重増加
  • 下痢、腹痛
  • 食欲低下
  • タンパク尿
  • 血液中のコレステロールが高くなる(高脂血症)
  • 血液中のタンパク質、アルブミンと言うタンパク質が低下する(低蛋白血症)

特に、浮腫、蛋白尿、高脂血症、低蛋白血症はネフローゼ症候群の診断の決め手になります。

■重症化した場合
  • 重症化すると、以下のような症状が出てきます。
  • お腹に水がたまる腹水、胸に水がたまる胸水
  • お腹が張った腹部膨満
  • 肺にも水がたまってくると呼吸困難、咳、痰
  • 血圧が高くなる
  • 尿が少なくなる
 

大人も子供も発症するネフローゼ症候群の原因

ネフローゼの原因は分からないものも多いです。原因不明のネフローゼ症候群は子どもに多く、腎炎によるネフローゼ症候群は大人に多いです。

■子供に多い原因不明の「特発性ネフローゼ症候群」
原因不明で子どもに多いネフローゼ症候群は、特発性ネフローゼ症候群と言いますが、このタイプは治療効果が出やすいのが特徴です。

特発性ネフローゼ症候群の場合、実際に腎臓の組織を針で取ってきて顕微鏡で調べる腎生検を行っても異常が見られないため、「微小変化型」と言います。そのため、子供のネフローゼ症候群は原因をはっきりさせる以上に、まずは治療を優先し、治療の効果がない場合に腎生検を行います。

■大人に多い慢性腎炎」が原因のネフローゼ症候群
大人に多く、様々な原因で腎臓の組織が炎症のため壊れていく慢性腎炎でもネフローゼ症候群になります。癌や糖尿病、妊娠中に血圧が上がる妊娠中毒症、膠原病である全身性エリテマトーデス(SLE)、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなどによる膜性腎症と言う腎炎、アレルギー性紫斑病、急速進行性糸球体腎炎という急に腎炎が悪化する病気などでネフローゼ症候群になります。

また、虫刺されや花粉症などのアレルギーでもネフローゼ症候群になります。花粉症の時期に再発を繰り返す患者さんもいます。

次に、ネフローゼ症候群の検査と治療法について解説します。
 

ネフローゼ症候群の診断・検査法……血液検査・尿検査・腎生検

ネフローゼ症候群の検査は、血液検査や尿検査が中心になります。腎炎が疑われる場合は、腎生検を行います。

■血液検査
1.「タンパク」と「アルブミン」の値が下がります。
幼児から成人まで……「タンパク」6g/dl以下  「アルブミン」3g/dl以下
乳児……「タンパク」5.5g/dl以下 「アルブミン」2.5g/dl以下

2. 「コレステロール」の値が上がります。
学童から成人まで……250mg/dl以上
幼児……220mg/dl以上
乳児……200mg/dl以上

■尿検査
1日に出てくる尿タンパク量は3.5g以上と、連日高値を示します。子どもの場合は、尿を溜めて検査することが難しいため、朝一番の尿(早朝尿)で検尿テープを使います。(+++)または300mg/dl以上ならネフローゼ症候群が疑われます。

■腎生検
特に、大人のネフローゼ症候群、子どもでもステロイド治療で治らないネフローゼ症候群は、腎炎があるかないかを調べるため「腎生検」を行います。なお、ステロイド治療については後述します。

この検査は、局所麻酔、小さい子どもは全身麻酔を行い、背中から超音波で腎臓を確認しながら針を使って組織を採取します。組織が採れているかどうか顕微鏡で確認し、採れていたら終了です。検査自体は10分程度ですが、組織の有無、麻酔などを考えると1時間程度かかります。針を刺す検査のため、多くは検査入院となり、術後は出血していないかどうかを確認の上、退院になります。組織を顕微鏡で見えやすいように染色して、腎炎の有無やタイプを検査します。
 

ネフローゼ症候群の治療……ステロイド療法が中心

基本は、ステロイドの内服を行います。ネフローゼ症候群では、ステロイドがもっとも効果的で有効な治療薬となります。また、むくみのある間は安静第一、水分と塩分を控え食事は高タンパク食にします。あまりむくみが強く、腹水や胸水がある場合には、尿が出やすくする薬(利尿剤)とアルブミンを投与することがあります。

■ステロイド療法
ステロイド量は最初の約1ヶ月は多いのですが、血液検査の結果次第で量を徐々に減らしていきます。急に辞めると、体内のステロイドがない状態になって、ショックなどを起こしますので、決して自己判断で急に辞めないでください。

ステロイドの減量の仕方は、6ヶ月にわたる長期間になる場合と、1ヶ月程度の短期になる場合があります。長期の場合は再発が少ないものの副作用が問題になり、短期の場合は再発が多く副作用は少なくなります。再発すればステロイドを使うため、長期間にわたるステロイド投与になってしまい、肥満、高血圧、糖尿病、多毛、緑内障、白内障、低身長、骨がもろくなる骨粗しょう症などの症状が出ます。

ステロイドの副作用が出たり、ネフローゼ症候群が頻回に再発したりすると免疫抑制剤として、シクロフォスファミド(エンドキサン)、サイクロスポリン(サンディミューン、ネオーラル)などが使われます。リツキシマブ(リツキサン)の抗体療法も使用されます。また、漢方薬では柴苓湯が使用されます。

ステロイドに反応の悪いネフローゼ症候群では、ステロイドを短期に大量に投与するステロイドパルス療法、シクロスポリン、LDL吸着療法や血漿交換療法と呼ばれる治療も行われます。

大人のネフローゼ症候群は腎炎などの可能性が高いため、その治療も必要になります。
 

ネフローゼ症候群の死亡率・後遺症・予後

ネフローゼ症候群の予後は良好。死亡率は0~7%程度でほとんどが感染症です。タンパク質の中には免疫に関与する免疫グロブリンがありますので、ネフローゼ症候群のままでは、免疫力は強くなく、治療でステロイドを使うと感染しやすくなりますので、感染症には注意が必要です。

子どものネフローゼ症候群の90%は、ステロイドで治ります。そのうち40~60%は再発を繰り返します。ただし、思春期を過ぎると再発は少なくなりますので、それまで再発したら、ステロイドの治療を繰り返すか、免疫抑制剤を使います。ステロイドで治りにくいネフローゼ症候群は10%程度で、免疫抑制剤を使うことが多いのですが、治療を行うことで、治っていくことがあります。
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