野菜・果物

野菜や果物は炭水化物食品です

「主食を抜けば糖尿病が良くなる」という医師がいます。一方で「糖尿病食」なるものは存在せず、普通のヘルシー食で十分と主張する人もいます。食後の血糖値を上げる炭水化物は敵でしょうか? それとも味方なのでしょうか?

炭水化物論争には唯一解がない?

インスリン注射が欠かせない糖尿病者のグループには、食事の炭水化物を思い切って制限したほうが血糖コントロールが容易になることを発見し、実践している人たちがいます。逆に、炭水化物を減らすと悪玉の脂肪でエネルギーを代替するようになるので、この方法には反対だと異論を唱える人たちもいます。

糖尿病治療史を見ても、炭水化物をできるだけ減らそうという時代と、もっと増やそうという時代の繰り返しです。例えば本当に砂糖は患者の楽しみを奪ってまで厳しく制限すべきなのでしょうか? 糖尿病と炭水化物を巡る論争は、どの国でもいかなる時代でも果てることはありません。医師同士、栄養士同士、患者同士で論戦の大バトルです。

もったいぶらずに結論を先に書きましょう。
ある意味では、たぶん「皆さん、正しいのです」。

現在の糖尿病食事療法の主流は摂取エネルギーの50~60%を炭水化物で摂るものです。日本でもそのように勧められています。肥満大国アメリカでは、糖尿病患者も低脂肪の肉と乳製品、未精製の穀類、ヘルシーな油脂、たっぷりの野菜と果物の食事が国を挙げて推奨されています。

興味深いのはアメリカ糖尿病協会(ADA)が炭水化物の摂取量をエネルギー比(%)でも、グラム単位でも示していないことです。現実にはアメリカの糖尿病患者の多くは炭水化物をエネルギー比で40~45%程度を摂取していると判断されています。これは中程度の炭水化物ですね。糖尿病食事療法には炭水化物のエネルギー比で低、中、高のやり方があります。以下でそれぞれの食事療法について解説しましょう。

低炭水化物食(Low-carb diet)とは

日本でも著書が翻訳されて話題になった(あるいは無視された?)リチャード・バーンスタイン医師がこの食事療法のグル(指導者)です。原則として炭水化物をカロリー比で10%以下に抑えます。一日の摂取量としては20~30gと、ケトン尿が出るか出ないかのギリギリに制限します。患者によってはカロリー比20~40%に緩めることもあるそうです。動物性の飽和脂肪酸は許容の範囲。トランス型脂肪酸は避けるように。

バーンスタイン医師はもともとはエンジニアでしたが1型糖尿病を発症してから医学に転じた経歴の持ち主です。私はバーンスタインの名前を史上初めて血糖自己測定をした人物として承知していましたよ。開発されたばかりの大きくて重い測定機を自宅に持ち帰ったのです。

1型糖尿病では炭水化物をグラム単位で計算してインスリンユニットと合わせるのですが、食品の炭水化物量はあくまでも不正確な推量なのですから、はっきりとカウント出来るものだけに制限すれば誤差が小さくなるという考え方です。低炭水化物、低インスリンで危険な低血糖と高血糖の両方を避けようとします。結果として高タンパク、高脂肪食になりますが低インスリンダイエットだから太りません。

中炭水化物食(Moderate-carb diet)とは

エネルギー比で40~50%を炭水化物で摂取します。前記の低炭水化物食と違うのは脂肪の取り方で、オリーブオイルやアボガドオイル、クルミオイルなどの不飽和脂肪酸を積極的に使います。穀類は未精白のものを。

炭水化物を多く含む食品は同時に他の栄養素もたくさん持っています。穀類、豆類、フルーツ、野菜、乳製品が炭水化物食品ですからヘルシー食なのは明白ですね。「ヘルシー食品を正しいポーションサイズで」というのが今日の治療の主流です。アメリカでは砂糖もこの一日あたりの炭水化物にカウントしますから禁止されていません。

高炭水化物食(High-carb diet)とは

玉子や牛乳、ハチミツなどの動物が作った食品までも拒否する厳格なベジタリアン(veganと言います)だと、カロリー比75%以上にまで炭水化物が占めてしまいます。残りはタンパク質15%、脂肪10%になるのでしょう。

ジョージ・ワシントン大学(アメリカ)のニール・バーナード准教授が2006年のDiabetes Care誌に発表した論文では、この高炭水化物食によってA1Cも血清コレステロールも下がったとしています。

皆さんはどの説に賛成ですか? いくら甘党でも、高炭水化物食で糖尿病になるわけではありませんが、いざ発症してしまうと血糖の元となる炭水化物の問題に直面します。上記の3つの説はいずれも間違っていません。と、なるとあなた自身が選ばなくてはなりませんね。正解は、あなたが満足して続けられるヘルシー食を見付けることです。

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