目指したのは“初代X5”のポジション
2011年に2代目に進化したミドルクラスのクロスオーバーSUV。サイズは全長4650mm×全幅1880mm×全高1675mmと、旧型より全長85mm/全幅25mm大きくなっている。国内には8ATと4WD(xDrive)を装備した、3リッターNA(自然吸気)エンジンのxドライブ28i(598万円)と3リッターターボのxドライブ35i(694万円)をラインナップした
電子制御ダンパーやエンジン、ATなどの特性をノーマル、スポーツ、スポーツ+に変更できるダイナミック・ドライビング・コントロールをxドライブ35iに標準化
BMWのクロスオーバーSUVを見て、“こんなのビーエムらしくない”と思う人は、もう随分と減ったのではなかろうか。初代X5が登場した2000年からしばらくは違和感をもった人も多かったが、そのパフォーマンス(特にドライビングフィール)が、それまでの所謂クロカンモデルとはまるで違っていて、より乗用車っぽくなっていることを知って驚き、結果、当初の違和感がニッチな価値へと転生して、一躍人気モデルとなったのだ。
8.8インチディスプレイを備えるHDDナビシステムを標準装備。ラゲッジ容量は550~1600リッターを確保した
X3はそんなX5の弟分で、要するに5シリーズに対する3シリーズのような人気を得た。より現実的にビーエムのSUVを楽しめるクルマ、というわけだった。そんなX3がフルモデルチェンジするに当たって、目指したのは何と冒頭に記した旧型X5のポジション。フルサイズ化した現行型X5に代わり、ほどよく大きなSUVとして生まれ変わった。X1という弟分が新たに加わっていたことも影響したのだろう。
バルブトロニックや直噴などを採用したエンジンと8ATの組み合わせに加え、エネルギー回生システムやアイドリングストップ機構(xドライブ35iに標準)などにより燃費を向上させた。xドライブ35iでは出力を13%アップさせつつ、燃費を約45%向上させている
新型X3の3サイズは、ほぼ初代X5と同じ(ついでに価格も)。旧型に比べてワイド&ロー、そして長い。それゆえ、低く安定した構えである。見るからに普通のセダンっぽい走りが期待できそうだが、実際の乗り味はそんな期待以上に、ちょっと驚くほど“上質”だ。気になったのは電動パワーステアリングの操舵フィールくらいのもので、中でも乗り心地は絶品。8ATのスムースな変速と相変わらず素晴らしいエンジンフィールも相まって、動かすことが本当に楽しいSUVである。もちろん、オフロードもきっちりこなす。
旧型よりでかくなったのに、その走りはがぜん軽快。街乗り普段使いのメインムーバーとして、SUVを検討しているという人には、とにかく一度試してもらいたいモデルのひとつ。特に未だSUVは運転しづらいと思っている人にオススメ。否、すでにモダンSUVを乗りこなしている人でも、目からウロコの乗り味だ。