医療施設も停電があり得ます
計画停電中にお産が来たら……と不安な妊婦さんも多い
東日本大震災で生じた電力不足のために、広域で計画停電が実施されています。それはお産を控えた妊婦さんにもさまざまな影響を及ぼしています。現代の産科医療は、胎児心音や陣痛の強さをはかるモニターや超音波をはじめ、電気を必要とする機器が多用されているからです。「病院のある地域は停電にしない」と思っている方は多いのですが、まったくないわけではありません。少ないのですが、本当に停電になった医療施設は出ています。
大きな病院でも予備電源はぎりぎり
中井章人教授(東京都多摩市・日本医科大学多摩永山病院女性診療科産科部長)によると、東京の多摩地域で中枢的な役割を果たしている同病院でも、計画停電開始当初、妊婦健診を含む何百名もの診察予約を急遽取り消しにしました。この病院には停電に備えた予備電源があり48時間は大丈夫とされていたのですが、それはICU(集中治療室)の人工呼吸器などどうしても必要な機械だけを作動させた場合。診察や病棟業務を維持するための電力も確保するため仮設電源を増設したところ、わずか8時間ほどしか電力が持たないことがわかったからです。
ハイリスク出産では転院も
その後、計画停電は回避されることも多いとわかってきたため、同病院は計画停電の時間内でも電気が止まらない限りは通常の診察を続行することになりました。ただし、分娩や手術はやはりまったく通常どおりというわけにはいきません。「特に慎重にならなければならないハイリスク分娩の方では、状況によっては23区内のここよりも余力のある病院に移っていただく場合があります。また現在、子宮筋腫の手術など緊急性の低い方の手術はお待ちいただいています。」と中井教授は言います。
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