企業年金・401k/401k個人型のはじめ方・選び方

401kのある会社を辞める人が必ずやっておくこと

3月は転退職の季節です。401kのある会社を辞める、という人も出てくることでしょう。転職時の401kの手続きを簡単にまとめます。もしかしたら一時金受け取りができる場合もあります。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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3月は転退職の季節。401kのある会社を辞める時の注意

年度末が近づいています。3月末で今の会社を辞める、という人も少なくないと思います。4月から新しい会社に移る人もいるでしょうし、独立開業を目指す人もいるでしょうし、しばらくは仕事のない状態で過ごす人もいるでしょう。

私は401k(確定拠出年金)のガイドでもありますが、退職する皆さんの中で、「今の会社は401kやっているな」という人についてはこれから紹介することをよく読んでいただければと思います。

それは「退職したら必ず自分で401kの手続きをする」ということです。

401kでも退職後に一時金を受けられるケースがある

まず、401kのお金を一時金で受けられるケースがあります。401kは原則として60歳まで解約できない仕組みなのですが、いくつかの条件が整った場合は、一時金としてもらうことができます。

(1)資産額が15,000円以下の場合
WEB等で自分の残高をチェックして、15,000円以下であった場合は無条件で一時金受け取りができます。

勤続3年未満で退職した場合は、会社が出した掛金を返すルールになっている場合があり、この場合は引き算した後のお金で15,000円以下なら一時金受け取りができます(会社によって掛金を返すルールのないこともある。詳しくは会社か401kのコールセンターで確認できる)。

この場合、退職してすぐ手続きをする必要がありますので、会社かコールセンターで確認をしてください。

(2)退職後401kに入れない場合
退職して専業主婦(国民年金の第3号被保険者)になるか、転職先の会社で企業年金があるなどの理由で、401kに法律上入れない人は、一時金を受けられる可能性があります。

ただし、401kに加入していた期間が3年以下であるか、残高が50万円以下であることなどが要件です。この場合は、退職後届く書類一式を確認のうえ、コールセンターに確認して手続きをしてください。

転職先に401kがあったら、入社時に必ず申し出る

一時金を受け取れなかった場合は、次の手続きをしておくことが必要です。まず、転職先が決まっていて、その会社が401kを導入している場合です。もしまた401kに入るのでしたら、前の会社の401k口座にあったお金をそのまま新しい会社の401k口座に通算できます。

この場合は、新しい会社の入社時説明(給与振込口座とか会社の諸制度の説明を受ける)のときに「実は前の会社で401kをやっていましたので通算をお願いします」と申し出てください。後は会社のほうで手続きが行われます。

それ以外のケースは「個人型401k」口座を自分で作る

(1)一時金として受け取ることができず、(2)新しい会社が企業型の401kをやっていない、場合は「個人型401k」の口座を作って、そこにお金を移さなければなりません。

手順としては「個人型401k口座を作る金融機関を選ぶ」→「金融機関のHPで必要事項を入力して書類請求する」→「必要事項を記入、必要書類を添付し郵送」という流れを踏みます。また、退職後、1~2カ月後に前職の401kサービスを提供していた金融機関から必要事項を記した書類が届きます。

個人型の401kはたくさんの金融機関が取り扱っていますが、基本的にはHPで取り扱っており、窓口では対応していません。商品の種類、口座維持手数料、HPサービスの利便性などを勘案して選んでみてください。一覧はこちらにあります。また、手数料が今もっとも安いのは筆者の知る限り、スルガ銀行になっています(掛金を拠出するか残高が50万円以上の場合で年1,956円)。

なお、この手続きは自分でやらなければいけませんので、忘れずに行いましょう。不明な点があれば、前職の401kサービスを担当している金融機関のコールセンターに電話してみてください。

なお、個人型401kについては、自営業者等国民年金保険料を納めている人(月額68,000円まで)と、企業年金のない会社員(月額23,000円まで)は、毎月追加の掛金を拠出することもできます。積立金については所得税非課税になるほか、運用益非課税のメリットも活かせますので、検討してみるといいでしょう。

放っておくと塩漬け口座になることに注意

ちなみに、個人型401kの手続きをしなかった場合、半年を経過すると強制的に前職の401k口座は解約され、国民年金基金連合会(個人型401kの実施主体)に移されます。これを「自動移換」といいます。いわゆる「塩漬け」です。

「塩漬け口座」になると、その後ずっと「利息ゼロ」になるほか、「毎月の手数料50円」が引かれます。また、塩漬けになったときとそこから出すときに「合計6,200円の手数料」がかかります。もちろん個人型401k口座に追加の入金をすることもできません

個人型401kの口座も口座維持手数料がかかりますが、運用で増える可能性もあります。例えば50万円の残高に0.5%の利息がつけば、2,500円の利息になりこれと口座維持手数料との差し引きになります。あるいは年間12万円積立をすれば、所得税率10%と仮定して税金が12000円トクしますので、手数料を考えてもトクします。こうしたことは塩漬け口座ではできません。

塩漬け口座については、今のところ「そっちのほうがトク」というケースもあるのですが、長い目でみるとトクしないと思います。少なくとも、毎月掛金を積み立ててもいいと思う人は個人型401kの口座を作っておくべきです(私の予想では塩漬け口座の毎月の手数料は何年か後に値上げされるのではないかとにらんでいます)。

退職時には必ず、「IDとパスワード」を確認しておこう

最後に大事なヒントを。401kのあった会社を退職するときは必ず「IDとパスワード」を確認しておいてください。もしなくしている場合は、退職時に再発行の手続きまですませておきましょう。

なぜなら、分からないことを問い合わせようと、前職の401kをサービスしていた金融機関のコールセンターに電話しても、自分が退職者であることを証明できないと質問に答えてもらえない可能性があるからです(逆にいえば、退職者ということがIDとパスワードで証明できると今は勤めていなくても質問できるということです)。

ほとんどの社員は、IDとパスワードを紛失しているといわれています。なくしても恥ずかしいことではありませんので、退職までに手続をしておきましょう。会社の人事・総務担当者に質問してください。

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