企業年金・401k/401k(確定拠出年金)の基礎を学ぼう

入社した会社が確定拠出年金?そのときどうする?Q&A

入社した会社から「我が社は確定拠出年金を採用しています……」と説明を受けた場合、けっこうびっくりしてしまいますよね。そんなときのポイント、401kの基礎の基礎を簡単に解説します!

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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「我が社は確定拠出年金」と説明されたらどうする?

この4月から働き始める、という人はたくさんいると思います。特に新社会人の人にとっては、バイトとは異なる「仕事」ということをこれから実感していくことになると思います。「仕事」というものについては、いいところも悪いところも含めてこれから数十年付き合っていくことになるわけですが、ぜひ頑張ってください。

ところで、新しく会社に入るといろいろな説明を受けることになります。有給休暇の話だったり、健康保険の話だったり、福利厚生の話がある中で、年金の話もあります。このとき、「我が社は確定拠出年金を導入しています」とか「日本版401kがあります」というような説明がある人もたくさんいることでしょう。同時に、制度の複雑さやたくさんの説明にとまどっている人もいるようです。

そこで、All Aboutの401kガイド歴12年(日本版401kの歴史とほぼ同じ!)の私が、「初めての401k、どうする?」というコラムをQ&A形式で書いてみたいと思います。会社の説明だけではよく分からなかったであろうところを、できるだけ補足しましょう。

(Q1)これって国の年金が破綻するから自分で運用しろってこと?

(A)ちょっと違います。401k(確定拠出年金)は国の年金制度ではなく、各企業ごとに実施する退職給付制度のひとつです。簡単にいえば退職金です。

会社の退職金を、退職時に会社が耳をそろえて支払うのではなく、毎月あなたの401k口座に入金するので退職時まで自分で運用してください、というものです。
一見すると不安定な制度のように見えますが、安心できることもあります。それは「会社の都合で後から減らされない」という点です。

3年以上働けば自己都合で辞めても1円たりとも減らされません。また、会社がどんなに景気が悪くなっても、すでに積み立てられた401k口座のお金は1円も減らされることはありません。もちろん、会社が倒産しても全額保護されます(会社はそこまではっきり説明してくれませんが)。自己責任を押しつけられたと思うより、自分の権利が明確になったと、前向きに考えてみてください。

(Q2)確定拠出年金に入らなくてもいいと言われたがOK?

(A)確定拠出年金は、中途解約の条件が厳しいため、基本的に老後の資金準備口座になります。そこで、制度に加入するか加入しないか、を選べることがあります(強制加入の会社も多いが)。このとき、制度に入らない場合は、掛金に相当する金額を給与に加算して毎月現金でもらえます。これを「前払い」の選択などといいます。

一見すると、毎月の手取りが増えるので、前払いも悪くないような気がします。自分で運用すればいいじゃない、と思う人もいるでしょう。しかし、401kに入らず前払いにするとほとんどの場合、損をします。なぜなら、前払いでもらうお金は所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料等が引かれることになるからです。そうなると、おおむね30%くらい引かれますので、手取りはかなり減ってしまいます(詳細は条件によって異なる)。

簡単にいえば「401kの掛金の5000円分、手取りが増えると思ったら、実際には3500円しか増えてない!」ということになるわけです。401k口座に入金すればそのまま5000円が将来のために積み立てられます。

しかも、資産運用をする場合、401k内は完全に非課税なので、どんなに株価が上がって儲かっても税金は一円もかかりません。有利にお金が増やせます。
基本的には、確定拠出年金への加入をオススメします。

(Q3)資産配分を決めろと言われたけどどうすればいい?

(A)確定拠出年金の制度の説明を受けたあと、立て続けに「投資とは何か」「株とは何か」というような説明会を受けた人も多いと思います。最後に申込書を渡されて、「これに○日までに資産配分を記入して提出するように」と言われて途方に暮れる人は多いようです。

このとき、あまり良くないのは「商品が20本あるけど、全部5%ずつ買う」というのと「よく分からないから全部定期預金にする」というやりかたです。

資産配分についてはまず「元本確保商品(銀行預金や生保商品)」と「投資信託(株式や債券で運用するもの)」の配分を考えてみましょう。全国平均でいうと「元本確保6 : 投資信託4」くらいです。最初はゼロ円からスタートする新入社員であれば、投資信託の割合がもっと高くてもいいと思います。投資に関する興味関心で割合を決めてみましょう。

次に投資信託内の配分を考えます。一般的には国内の株式、国内の債券、外国の株式、外国の債券、の4種類に配分をします。よほど相場観がない限りは、どれかひとつに絞らないことです。2年前は国内債券がプラスで株式が大きくマイナスでしたが、前年度は国内株式が大きくプラス、というように相場の動きは一様ではありません。

最初は4種類に必ず投資し、1つの対象が50%を超えない、程度の範囲で興味がある投資信託を組み合わせてみてください。同じ投資先の商品が複数ある場合に悩むなら、手数料(信託報酬と記載されていることも)が安いほうを選べばいいでしょう。必ず、運用商品の説明資料が配られていると思いますので、チェックしてみてください。

(Q4)面倒だし適当に決めておけばいいよね?

(A)確かに面倒だと思います。しかも、入社早々に決めろと言われても困ることでしょう。しかし、ここで適当に決めると大損をする可能性があります。

一般に、投資の結果は8割がたが最初の運用方針の決定で決まると言われています。確定拠出年金でいえば、運用指図の書類の記入です。ここで、どんな商品を何割買ったかが、後々の運用結果につながっているわけです。

また、「面倒だから今は適当にやるけど、後でしっかり考えるよ」というのも危険な考え方です。というのも今、面倒なことを後でじっくり検討する可能性はきわめて低いからです。これはあなただけできないわけではありません。人間の心理として当然のことです。統計的にもほとんどの社員は401k口座の見直しをしていないことが明らかになっています。

最初の書類提出のときだけでも、少し時間を取り、じっくり検討して運用指図の方針を考えてみてください。

(Q5)国も会社も運用をうまくできないのに、自分には無理でしょ?

(A)国の年金運用も会社の企業年金の運用も、2008年度は大きなマイナスを記録しました。しかし2009年度以降は持ち直し、2012年度はいずれも10%超のプラス運用でした。実際のところ、資産運用がうまくいくかは、担当者の能力より、実際の景気の動向に影響されます。また、「株価が下がったとき、自分だけうまく売り抜ける」ということは簡単なように見えて、誰にとっても実際には難しいことです。

確かに、国や会社が専門の担当者を配置して資産運用をするより、個人が運用をするほうが難しいことは確かです。多くの会社ではその点について配慮し、401kについては毎月の掛金が多めに設定されていることがほとんどです。

(Q1)のところでも触れましたが、自己責任を負う代わりに、会社の都合で後から減らされることは一切ないのが401kのいいところです。OBが増えたり経営が悪化して給付ができないからと、あなたの401k資産を減らすこともできません。

401kがあるからと、あなたがプロのファンドマネージャー並の能力を持つ必要はありません。むしろ投資信託等を活用することで、プロを選んで運用をさせる立場になります。

もし、国にも会社にも任せられない、と考えているのであれば、自分で管理するのが大変であっても、自分でやるしかないわけです。前向きにとらえて、チャレンジしてみてはどうでしょうか。
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