401k裏技活用法を解説!

こちらの記事では、「長くコツコツ」という日本版401k活用の基本ルールを破った、「裏技活用法」を紹介しました。コンセプトは45歳~50歳から始めて「短く、ドカンと」老後資金を貯める、です。

ルールをおさらいしておきましょう。いずれも個人型401kを活用します。

  1. 45歳ないし50歳からスタートして、最後の10~15年で老後資金準備を一気にすすめる
  2. 拠出限度額いっぱいの枠を活用し、積立をする。非課税メリットを最大限に活かして、実質負担を減らす
  3. 運用については、堅実・確実を旨とする

ルールは、以上の3点でした。今回は、この裏技活用法でどれくらい有利に、かつ効果的に老後資金準備ができるか確認してみましょう。

遅く始めるのは、下ろせないから

まず、どうして「短く」貯めるのか、説明をしましょう。日本版401kでは、原則として60歳未満で引き出しができません。例外的に認められるのは障害を負ったときか死亡したときだけ、と考えておいたほうがいいでしょう。

大切な老後のお金の準備ですから、下ろせないほうがよい、ということなのですが、逆に考えると「困ったときに引き出すことができない」ということでもあります。例えば、病気やケガ、その他の理由でまとまったお金が必要なときには、この401kの口座にいくらあっても使えません。仮に1000万円あろうが2000万円あろうがダメです。

少しずつ条件つきで緩和されてはいますが、現在のところ、この制約は日本版401kを活用する際の大きな注意点になっています。若いうちから無理をして老後のためにお金を貯めすぎると、目の前の生活のリスクに対応できない可能性があるというわけです。

そこで、「裏技」ではできるだけ遅く401kに加入することにします。ただし、お金を積み立てることができるのは60歳までであること、10年以上の加入期間がないと60歳から受け始めることができないことを踏まえて、遅くとも50歳までには積立をスタートすることにします。

実際問題として、この年齢になると老後の資金準備状況もある程度メドが立ち始めます。もう少し準備をしておかないと老後の所得が不安かもしれない。その不足分を401kを活用して準備しようというわけです。

運用については堅実・確実に

日本版401kは自己責任により、資産運用を行って年金資産を増やしていきます。そのための受け皿として、投資信託をはじめとしたリスク商品などが提示されます。

一般的に401kでは、インフレを上回る資産価値の上昇や資金準備に占める積立金の割合を下げるために、ある程度のリスク商品の組み入れをすすめるケースがほとんどです。若い人は、稼げる余地があることやまだ投資期間が長いことなどを元に、資産の多くを投資信託などで運用するようにアドバイスがされます。

しかし「裏技」では、そういった無理をしないことにします。株式型の投資信託などのリスク商品は、大きく増える可能性と同時に、大きく資産を損なう可能性もあります。もう、受け取りは目の前の10数年後に迫っているわけです。ここで積立金の数割を失ってしまうことは、老後の計画に支障をきたします。

元本確保型、と呼ばれる商品も401kでは提示されます。これらは、満期まで保有していれば元本が必ず確保できるタイプの商品です。定期預金などをイメージしてください。一定の利息もつきますので、大きくは増えませんが確実にお金を増やすことはできます。「裏技」活用法では、ほとんどの資産はこの元本確保型で運用すればよいのです(ただし、潰れそうな金融機関には要注意!)。

もちろん、投資信託等を自分の判断に応じて積極的に組み入れてもかまいません。もしかすると、年金資産が数割アップすることもあるかもしれません。ただし、数割ダウンすることも踏まえた判断が必要になってきます。

拠出限度額をフル活用、税金を浮かせて実質負担は8割でよい?

個人型401kでは、自分で毎月いくら積み立てるかを決めることができます。単位は1000円、最低でも5000円は毎月積み立てなくてはいけません。

一般的には、毎月無理なく負担できることだけでなく、引き出せないという性格を考慮し、慎重に掛金額を決めるようにアドバイスされます。特に限度額いっぱいを活用するより、控えめな額からコツコツお金を積み立てるようすすめるケースが多いようです。

「裏技」では原則として限度額いっぱい、あるいはそれに近い額を積み立てていきます。残された時間は限られていますし、受け取るのもそう遠い将来ではありません。自分の老後の資金準備として、許容できる範囲でできるだけたくさん老後のために積立をしていきます。

個人型401kでは、自分の老後のために毎月積み立てたお金について、国が所得控除をしてくれます。所得控除というのは税金の対象としないということです。つまりその分、税金の計算に使う収入(=所得)が減りますので税金が少なくなるということです。

普通、収入があったら税金を引かれたあと、貯金をしますよね。ところが、個人型401kでは、収入からまず401k用に積立をした分を引いてから、残りの収入について税金がかかるわけです。ある意味では、自分の老後のために貯金をすれば、自分の今年の税金が減るということです。お得に老後資金準備ができるというわけです。

実際に、個人事業主のモデルで計算をしてみましょう。個人事業主等は毎月最大で6.8万円まで積み立てることができます。これをマックスで活用することにします。

仮にこの個人事業主さんの収入が600万円だったとします。1年間に積み立てることのできる額は81.6万円です。仮に控除額を150万円とすると……

■401k積立前
収入600万円 積立0円 税金57万円 手元の残り543万円(A)

■401k積立後

収入600万円 積立81.6万円 税金40.7万円 手元の残り477.7万円(B)

(A)と(B)の差額 65.3万円

なんと個人型401kに81.6万円積み立てることで、税金が16.3万円節税できました。実質的な負担でいえば、401kに65.3万円負担すれば、81.6万円積み立てることができたということになります。

実質65万円貯めると、税金のお得分も加味して80万円分の老後の準備ができるわけです。これはこの低金利時代にスーパーお得な資産形成といえると思います。

※この試算はモデルケースです。個々の事例により、実際の節税額は異なります。

あとは時間が許す限り、積み立てていく

さて、これでどれくらい積み立てられるでしょうか。実際には毎月500円程度の口座維持費と、投資信託等によっては運用報酬が必要になってきます。毎月積み立てることのできる実質的な額を6.7万円として考えてみます。運用利回りは1%とします。

10年間加入の場合  845.2万円
15年間加入の場合  1300.6万円

10年間でざっと840万円、15年あれば約1300万円が準備できる計算になります。先ほどのケースでいえば、10年間で実質的な負担は約653万円ということになりますから、有利な資産形成になります。

ちなみに今後、金利が上昇して毎年3%の利息がつけば、10年で約936万円、15年で約1520万円にもなります。

限度額いっぱいを、できるだけ長く積み立てたい

かなりステキな話でしたが、残念ながら利用できるのは個人事業主などに限られます。企業年金のない会社に勤める会社員も個人型401kを利用できるのですが、拠出限度額が毎月2.3万円、年間25.6万円に限られてしまうのです。上記と同じ条件で15年間貯めても、414万円くらいにしかなりません。ちょっと苦しいですね。

対策としては、「限度額いっぱいは死守しながら、できるだけ早く始める」ということしかありません。幸か不幸か低い限度額ですから、ここは個人型401kの本来の活用法に立ち返って、老後資金の準備をしていくことになります。

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