プレハブハウスメーカーの生産ライン。工場で部資材を高い精度で生産することで現場施工をスピーディーにする。この技術は仮設住宅にも生かされている(写真は積水ハウスの関東工場)
プレハブというのは、「工業化」のことを言います。工場で柱や梁など主要部資材を生産。それにより、部資材の高い精度の生産はもちろん、現場での施工もスピード化できるというのが工業化の目的であり、それがプレハブ住宅の大きな特徴の一つとなっています。
そうした特徴は、我が国の住宅性能の向上に大きく貢献し、住宅業界の発展をリードしてきました(くわしくはこちらをご参照ください)。そのプレハブ住宅のエッセンスが凝縮されているのが仮設住宅なのです。
全都道府県と仮設住宅供給に関する協定を締結
さて、今回のように震災後早くから仮設住宅が供給できるのは、日頃から協会の関係者と行政が災害時を想定して連絡を取り合ってきたから。具体的には、協会では全ての都道府県と災害時に仮設住宅を供給するための協定を結んでいて、例えば協会関係者は各自治体の防災訓練などにも参加しているそうです。阪神淡路大震災当時に神戸市中央区六甲アイランドに建てられた仮設住宅(写真提供=プレハブ建築協会)
有名になったのは、やはり阪神淡路大震災の時でしょう。このときは4万戸以上の仮設住宅が作られました。私は、この震災でボランティアを経験しましたが、私が神戸市の避難場所にいたときが、ちょうど仮設住宅が引き渡される最初の頃でした。
当時はくじ引きで仮設住宅の入居が抽選で決まっていました。抽選で当たった方とそうでない方の悲喜こもごもな様子を私は目にしました。仮設住宅といえども住宅は住宅。引っ越しの手伝いなどを通じて、やはり住宅は人の暮らしの大切な要素なのだと感じた貴重な体験でした。
避難所暮らしというのは、寒さ暑さなどはもちろん、共同生活でありプライバシーの問題など大変なのです。だから仮設住宅に期待が集まるのですが、具体的な内容を次のページで見てみましょう。