預金・貯金

災害時の銀行預金の引き出し

東北地方太平洋沖地震の被害に対応するため、「預金通帳を紛失した場合でも本人確認が取れれば預金を払戻すこと」などの要請が、政府・日本銀行から金融機関に行われました。災害被災地の金融機関の特別措置について紹介します。

坂本 綾子

執筆者:坂本 綾子

預金・貯金ガイド

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2011年3月11日「東北地方太平洋沖地震」の発生後、政府・日本銀行から「災害被災地域の金融機関に対する特別措置の要請」が行われました。

通帳、印鑑、キャッシュカードを紛失した場合も本人確認で預金の払戻しが

東北地方の金融機関や都市銀行の支店などが、預金通帳、印鑑、キャッシュカードがなくても10万円まで(金融機関によっては30万円まで)の預金の払戻しに応じています。また地震発生の翌日・翌々日(3月12日、13日)は、土・日曜日であったにもかかわらず、店舗を開けて、預金払戻しのための臨時営業が行われました。次の土・日曜日である3月19日、20日も営業を行う金融機関があります。満期前の定期預金の払戻しについて相談に応じている金融機関もあります。

これは、金融機関の災害時の特別措置によるものです。政府・日本銀行が、銀行、信用金庫、信用組合等の金融機関に要請した特別措置の内容は次の通りです。

●預金証書や通帳を紛失した場合でも、預金者であることを確認して払戻しに応ずること
●届出の印鑑のない場合には、拇印にて応ずること
●事情によっては、定期預金、定期積金の期限前の払戻し応ずること。また、これを担保とする貸付にも応ずること
●汚れた紙幣の引き換えに応ずること
●国債を紛失した場合の相談に応ずること
●休日営業または平常時の営業について、配慮すること
など。

あくまで要請であり、応じるかどうかは各金融機関の判断となりますが、今回は、複数の金融機関が要請に対応しています。

多くの方が亡くなられ、いまだ行方不明の方や、孤立している方がいらっしゃいます。心よりのお悔やみを申し上げるとともに、1日も早い救助をお祈りいたします。

そのような中で、ケガをしながらも助かった方、避難した方にとっては、生活の建て直しが重要な課題となります。

通帳、印鑑、キャッシュカードを紛失した場合、本人確認ができれば、預金の払い戻しが可能となっていますが、本人確認書類とは、どのようなものでしょうか?

本人確認書類とは? 

本人確認に必要な書類は、個人の場合は次の通りです。

運転免許証健康保険証国民年金手帳児童扶養手当証書母子健康手帳住民基本台帳カード(氏名、住居、生年月日の記載のあるもの)、旅券(パスポート)、外国人登録証明書その他官公庁から発行された書類等で、氏名、住居、生年月日の記載のあるもの(顔写真のあるもの)など。

本人確認書類がなかったら? 

着の身着のまま逃げて本人確認書類もないという場合はどうすればいいのでしょうか? いくつかの金融機関に問い合わせたところ、個別対応になるので窓口やフリーダイヤルで相談をとの回答でした。自分の置かれた状況を、口座のある金融機関で説明して相談してみましょう。

災害に備えて、財布に本人確認書類を? 

外出中に災害に遭った場合は、カバンの中に財布や運転免許証を持っている人がほとんどだと思います。問題は自宅で災害に遭い、外に逃げなければならないとき。持ち出すものを準備できる時間的な余裕があればいいのですが、そうではない場合、とっさに何を持って逃げればいいのでしょうか? やはり携帯電話と財布でしょうか? 財布の中にいくらかの現金とキャッシュカード、本人確認書類(運転免許証または健康保険証)が入っていれば、当面はしのげるのではないでしょうか?

また、日頃から、災害用の持ち出し袋を用意している方は、その中に免許証や保険証のコピー、預金通帳や保険証書などの番号を記入したメモなども入れておきましょう。

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