つけ麺ブームは荻窪から始まった
プロデューサーのEくんがオールアバウトを辞めたと聞いた。僕は、しまったと思った。というのも、やり残した散歩があったからだ。それは2008年の2月のこと。僕はEくんとJR荻窪駅の改札で待ち合わせた。南口にある「丸長」を訪問するためだ。お店まで歩く間、Eくんがいろいろと説明してくれた。「今のつけ麺ブームの源流というのは、山岸一雄さんの東池袋大勝軒だといわれているんですけどね、その山岸さんが最初に働いていたお店で、すべての源流はここにあるんですよ」
というのような話をしながら店の前まできたとき、いやな予感がした。シャッターが閉まっている。そして、そのシャッターには「臨時休業します」という貼り紙。
そのときのEくんの落胆した表情はいまでも忘れない。そのときは、かつて行列店だった「丸福」の系列店へ行ったのだけれど、僕も「丸長」への思いはずっと残っていた。で、今回急にそのことを思い出し、電車で荻窪に向かった。
荻窪駅南口から出ると、みぞれまじりの雨であった。寒い。
シャッターは開いているし、営業しているようだが、貼り紙がある。いったい……。