住宅購入の費用・税金/住宅ローンのしくみと選び方

絶好調!フラット35Sの実力は?

住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して取り扱っているフラット35の人気が急上昇しています。その理由は優良住宅向けのフラット35Sの金利が大幅に引き下げられているから。その実力のほどをチェックしましょう。

大森 広司

執筆者:大森 広司

マンション入門ガイド

フラット35Sの利用が9カ月間で前年度の3倍に

フラット35は返済終了まで金利が変動しない固定金利がメリットですが、現在の金利水準は2%台半ばが中心で、1%前後で借りられる民間の変動金利ローンに比べればやや割高です。そのため一昨年(2009年)までは変動金利に押され気味でしたが、2010年2月にフラット35Sの金利引き下げ幅が従来の0.3%から1.0%に拡大されたため、人気が急上昇しています。

フラット35Sは「耐震性」「省エネ性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性」の4つの基準のうちどれか1つ以上を満たす住宅を対象に、フラット35の当初10年間の金利を引き下げる制度です。2009年度まではフラット35が年間4~5万件、フラット35Sが同2万件前後の利用にとどまっていました。

それが金利引き下げ幅が拡大された後の2010年度は一気にフラット35Sの利用が増え、12月末現在までの9カ月間で実行件数が前年度1年間の3倍近い6万件を突破しています。フラット35利用者のじつに8割以上がフラット35Sを使っている状況です。

(図表1)

(図表1)



新築マンションのフラット35S利用率は8割未満

2010年度の実行件数を住宅種別にみると、圧倒的に多いのは新築一戸建てでフラット35が5万件近く。そのうち9割近い人がフラット35Sを利用しています。

これに対し、新築マンションはフラット35の実行件数が1万件そこそこにすぎず、フラット35Sの比率も8割に達していません。フラット35の差はほぼ着工戸数の差に比例しますが、マンションでフラット35Sが少ないのは工事期間が長く、仕様をフラット35Sの基準に合わせるのが間に合わなかったケースが多いことも一因とみられます。

なお、中古住宅は一戸建て、マンションともフラット35の実行件数が1万件に満たず、フラット35Sの利用率も6~7割です。基準を満たす住宅が少ないという事情もありますが、浴室に手すりを付けるだけでフラット35Sが利用できるようになるケースもあるので、購入者がその気になればもっと利用件数が増えると思われます。

(図表2)

(図表2)



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