フラット35Sの利用が9カ月間で前年度の3倍に
フラット35は返済終了まで金利が変動しない固定金利がメリットですが、現在の金利水準は2%台半ばが中心で、1%前後で借りられる民間の変動金利ローンに比べればやや割高です。そのため一昨年(2009年)までは変動金利に押され気味でしたが、2010年2月にフラット35Sの金利引き下げ幅が従来の0.3%から1.0%に拡大されたため、人気が急上昇しています。フラット35Sは「耐震性」「省エネ性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性」の4つの基準のうちどれか1つ以上を満たす住宅を対象に、フラット35の当初10年間の金利を引き下げる制度です。2009年度まではフラット35が年間4~5万件、フラット35Sが同2万件前後の利用にとどまっていました。
それが金利引き下げ幅が拡大された後の2010年度は一気にフラット35Sの利用が増え、12月末現在までの9カ月間で実行件数が前年度1年間の3倍近い6万件を突破しています。フラット35利用者のじつに8割以上がフラット35Sを使っている状況です。
新築マンションのフラット35S利用率は8割未満
2010年度の実行件数を住宅種別にみると、圧倒的に多いのは新築一戸建てでフラット35が5万件近く。そのうち9割近い人がフラット35Sを利用しています。これに対し、新築マンションはフラット35の実行件数が1万件そこそこにすぎず、フラット35Sの比率も8割に達していません。フラット35の差はほぼ着工戸数の差に比例しますが、マンションでフラット35Sが少ないのは工事期間が長く、仕様をフラット35Sの基準に合わせるのが間に合わなかったケースが多いことも一因とみられます。
なお、中古住宅は一戸建て、マンションともフラット35の実行件数が1万件に満たず、フラット35Sの利用率も6~7割です。基準を満たす住宅が少ないという事情もありますが、浴室に手すりを付けるだけでフラット35Sが利用できるようになるケースもあるので、購入者がその気になればもっと利用件数が増えると思われます。