先進医療特約とは
先進医療特約って必要なのかなあ……
では、先進医療特約とはどんなものなのでしょうか。先進医療特約とは、厚生労働省によって先進医療として認められた120種類(平成23年2月現在)の治療技術で、さらに厚生労働省が先進医療を行うことを認めた病院にて治療を受けた場合に、かかる先進医療の技術料を決められた保険金額の範囲で支払うという特約です。
特定の治療方法、そして認定を受けた病院というのがポイントです。
勘違いされやすい例として、インプラント手術があります。これは先進医療として認められた治療法で、120種類の中にも入っています。ところが、この治療技術は、一般の歯科医院、クリニックでも施術されています。
以前、まだ先進医療特約が販売されたばかりのころのお話です。先進医療について知識のなかったガイド長島は、ある歯科医に質問してみました。
「先生、インプラントは先生のところでやってらっしゃいますよね。いま先進医療特約という医療保険の特約が販売され始めて、先進医療を受けた場合に1000万円を限度に先進医療にかかった費用をカバーしてくれるそうなんですよ。インプラントって先進医療ですよね?」
「そうだよ、先進医療だから私がカルテに書いてあげれば大丈夫だと思うよ」
「そうなんですか!この特約使えそうですね」
そうです、このやりとり、私はもとより、先生も勘違いしていました。インプラントだからといって、どこで受けてもいい訳ではありません。厚生労働省に認められた病院でなければいけないのです。
どうして先進医療の特約保険料は100円台なのか?
現在販売されている医療保険において先進医療保険の特約保険料は100円台、高いところでも200円を少し超える程度です。なぜ、1000万円もの保障があるのに、こんなに保険料が安いのか。それは非常に単純で、実際に保険金が支払われた事例が少ないからです。
1年ほど前、先進医療特約が発売されてからちょうど2年ほどたったころ、保険会社の保険金支払い部門に電話をかけて聞いてみました。当時、先進医療を前面に押し出し、新しい医療保険として拡販していた頃ですから、契約者数も数十万件になっていたはずです。しかし、実際に先進医療特約の保険金として支払ったのは片手にも満たないとのことでした。たしか3件か4件だったと思います。
現在もこの数字はさほど伸びておらず、ある保険会社では契約は数十万件ですが、いまだ10例を超えていないとのことです。
先進医療は誰にでも当てはまるわけではない
先進医療特約のついた医療保険に加入している人の中で、先進医療の治療を受ければ、健康保険の対象の治療を受けるより治療費の負担が軽くなると考え、わざわざ先進医療を行っている病院に受診しにいった人がいたそうです。すると担当の医師から、「あなたは、先進医療より従来の治療の方が適している」と診断され、納得せざるを得なかったという話しを聞いたことがあります。
しかしこの話は決してこの人だけではなく、先進医療特約に加入した人の中には、このようにわざわざ認定を受けた病院に受診される人も多いことが考えられます。それでも少ない保険金支払い事例は、それだけ、先進医療という治療技術が患者にとってベストとなるケースが少ないということでしょう。