伝統の「デイトナ500」でアメリカを感じてきた!
NASCAR デイトナ500
日本の国内モータースポーツよりもおよそ1ヶ月早く、海の向こうアメリカではモータースポーツシーズンが開幕!温暖なアメリカ東南部に位置するフロリダ州でアメリカンモータースポーツの人気レースシリーズNASCAR(ナスカー)の開幕戦『デイトナ500』が開催され、ガイドも伝統のビッグレースを初体験してきました。
今回はNASCARの最高峰クラス(当時ウインストンカップ)に日本人でただ一人参戦した経験を持つレーシングドライバー、福山英朗(ふくやま・ひでお)さんと行くNASCAR観戦ツアーに参加し、貴重な体験をたくさんしてきましたので、そのレポートをお届けします。
福山英朗
全日本F3000、全日本ツーリングカー選手権、全日本GT選手権などで活躍し、ル・マン24時間レースにもニッサンのワークスドライバーとして参戦。90年代後半に鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎで開催された「NASCARサンダースペシャル」への参戦をきっかけに2002年に47歳にして渡米。最高峰のウインストンカップに挑戦した唯一の日本人となる。CS放送「G+(ジータス)」で放送されているNASCAR番組の解説者も務めている。
アメリカで一番人気のレース、NASCAR
『デイトナ500』のレポートに入る前に「NASCAR」というレースについてご紹介しておきましょう。NASCAR
NASCARはNational Association for Stock Car Auto Racingの略称で日本語に直訳すると「全米市販自動車レース協会」という意味になります。この団体が主催する市販車をモデルにしたレースはアメリカのモータースポーツの代名詞とも言える存在で、その人気は全米第2位のプロスポーツとも形容されるほどです。モータースポーツ自体がマイナーな日本では信じがたいことですが、テレビの視聴率はベースボールを上回る人気を誇り、出場するドライバーはテレビCMのキャラクターに起用されるなど国民的な人気を獲得する存在になっています。
デイトナ500の位置づけ
2月末から11月までの9ヶ月間、年間36戦にも渡って全米をサーカスのごとく転戦する巨大シリーズ「NASCAR」。その最も重要なビッグイベントに位置づけられるのが開幕戦の『デイトナ500』です。デイトナインターナショナルスピードウェイ
『デイトナ500』はリゾート地として有名なフロリダ州・デイトナビーチ近くにある「デイトナ・インターナショナルスピードウェイ(距離2.5マイル)」の楕円形レーシングコース(オーバルトラック)を使って開催される500マイル(およそ800km)のレースで、ほぼ同じレースフォーマットを維持しながら今年で53回目を数える歴史を誇ります。
オープンホイール(フォーミュラカー)レースの『インディ500』よりは歴史が短いイベントですが、『デイトナ500』はアメリカ国民にとってNFLのスーパーボウルと並ぶ2月の国民的関心事であり、このレースに勝利することはアメリカのレーサーの大きな夢でもあるのです。
フロリダ州・デイトナは発祥の地
『デイトナ500』が重要なレースに位置づけられる理由はやはり脈々と受け継がれてきた伝統によるものが大きいと言えます。NASCARはデイトナ発祥のモータースポーツで、元々はデイトナビーチの砂浜でレースが開催されていたのです。デイトナビーチにあるレストラン「RACING NORTH TURN」には砂浜で開催されていた当時の写真が数多く飾られている。かつてのコースは現在は単なる砂浜だが同レストランはNASCARファンならぜひとも訪れたい聖地だ。
市販自動車で砂浜のダート路面を豪快にコーナリングしていくレース大会をさらに発展させるため、1958年に傾斜30度以上のバンクを持つ「デイトナ・インターナショナルスピードウェイ」が完成。翌59年に第一回目の『デイトナ500』が開催されました。この発祥の地、デイトナを中心にNASCARは全米でレースイベントを展開し、インディカーをも上回るモータースポーツの代名詞としてのポジションを獲得していったのです。