女性も子供もレースをとことん楽しむ

「デイトナ500」は今年もおよそ20万人の観客を集めました。スピードウェイに集まったファン層を見てみると、若いカップルは少なめですが、家族連れが多いことに気づきます。特に女性ファンの多さは驚きましたね。レースファン達はお父さんのドライブで、お母さんも子供もみんなでスピードウェイにやってくるのです。日本に比べて今も家族との時間を大事にするアメリカならではと言えるのかもしれませんが、お母さんも思春期の娘もキッズたちも退屈な顔を見せる事も無く、スタートからゴールまでレース展開をとことん楽しんでいるのが印象的でした。
NASCAR

NASCARファンたち


彼らがみんなで楽しめる最大の理由はNASCARのレースフォーマットの分かりやすさにあるでしょう。特にオーバルのコースでは誰がトップなのか単純明快に分かりますし、アクシデントの度にコーション(セーフティカーラン)が入るので、広がった差が頻繁にリセットされます。つまり、お気に入りのドライバーが例え序盤で順位を落としても最終的にはスルスルとトップグループに躍り出てくる、なんてことが当たり前に起こるのです。スタートからゴールまでファンを飽きさせないレースフォーマットができているわけです。
デイトナ500

デイトナ500


さらに言えば、前ページであげたメーカー間の技術競争の制限により、余計なレーシングカーに対する知識を頭に入れる必要性がありません。これがまさにクルマに興味の無い人たちを(嫌がらせずに)レース場に足を運ばせる要因ではないでしょうか。クルマの戦いよりも、エンターテイメント性を追求している所が日本やヨーロッパのレースと大きく異なります。


八百長はあり得ない、決死のバトル

アメリカンモータースポーツに親しみのない日本のレースファンの人たちからは「グルグル左に回るだけのオーバルレースは面白く無い」という意見をよく耳にします。確かにドライバーの腕の差が出るのは日本のサーキットのような左右にカーブするコースかもしれません。

1周の距離が長い「デイトナスピードウェイ」では左回りで常にアクセル全開ですから、これの何が面白いのか?とその部分だけについて聞かれると僕も説明に困ってしまいますが、実際に自分の目でレースを見てみるとその印象は大きく異なるものになると思います。下のコースの写真を見てください。
オーバル

バンクのついた高速オーバル


コースについたバンクは30度以上で、踏ん張らなければ立っていられないほど傾斜しています。ここにNASCARのドライバーたちは3台横並び後ろに30台以上という大集団で、時速300kmで飛び込んでくるのです。生で見た時速300kmの集団走行の迫力は正直、想像を絶するものでした。はっきり言って危険です。危険極まりないです。

その中でドライバーたちは一瞬たりともアクセルを緩める事はしないのです。アクセルペダルから足を離せば集団についていけないどころか、後ろのクルマと接触したり、多重クラッシュを引き起こす可能性だってあるのです。
多重クラッシュ

レース序盤に発生した多重クラッシュ


特に最高峰クラスの「スプリントカップ」に至っては、ドライバーに勇気が有る無いというレベルを遥かに逸脱し、全員が勇猛果敢。その中でナンバーワンになりたいという人たちの集まりなのだと認識させられました。