公的制度だけではなぜ不安なのか?厚生労働省が毎年発表している国民医療費の概況から平成20年度の日本の医療費事情を紹介します。医療事情がどのような状況なのか是非確認してみて下さい。
日本の国民全体の医療費は何と35兆円!!……1P
国民医療費は半世紀で145倍!!……2P
薬局調剤医療費が18年で8.8倍!!……3P
医療費の8割は45歳以上!!……3P
国民医療費の現実を踏まえた備え……4P
日本全体の医療費は何と35兆円!!
国民医療費は医療機関等での病気やケガの治療に要する費用を厚生労働省が推計したものであり、診療費や調剤費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等を含んでいます。ただ、先進医療費や差額ベッド代、正常な妊娠や分娩等の費用、不妊治療における生殖補助医療費、健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等の費用は含んでいません。もちろん美容整形費も含まれていません。
厚生労働省の平成20年度国民医療費の概況によると、平成20年度の1年間の国民医療費が34兆8084億円となっています。あまりにも数字が大きいので、他のものと比較してみると、日本で一番時価総額の大きいトヨタ自動車株式会社が約12兆円なのでその3社分弱、また年収500万円なら約700万人分の年収と同じくらいの規模になります。
平成20年度財源別国民医療費と構成割合の概要
※公費、保険料(事業主)、保険料(被保険者)、患者負担は国民医療費の内訳です。
国民医療費のうち患者負担が4兆9141億円で、全体の14%を負担していることになります。健康保険の自己負担割合は3割なのに何故と思うかもしれませんが、年齢等によっては3割よりも少ない自己負担の人もいるので、それが反映されていると思われます。
さらに、ほとんどの人は健康保険料を払っています。表1では被保険者の保険料が9兆8599億円となっていますが、これも治療などをする前段階での自己負担と言えます。被保険者の負担割合が28%なので、患者負担とあわせると42%も国民が直接的に負担していることがわかります。健康保険の自己負担割合が3割の人は結局5割以上の医療費を直接負担していると考えられます。
次に国民医療費の過去からの推移をみてみましょう。
国民医療費は半世紀で145倍!!