個人年金/個人年金保険の税金

年金型生命保険の二重課税問題と確定申告

年金型の生命保険について、相続税の課税対象部分は所得税の課税対象(二重課税)とならないとする最高裁判所の判決が2010年(平成22年)にありました。これにより納め過ぎとなっている所得税が還付となりますが、確定申告ではどうすればいいのでしょうか。生命保険の二重課税と確定申告について解説します。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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生命保険の二重課税と確定申告

生命保険の二重課税と確定申告

年金型の生命保険契約について、亡くなった人の遺族が受け取った生命保険金は相続税の課税対象となった分は所得税の課税対象とならないと最高裁判所の判決がありました(2010年7月6日)。

生命保険の二重課税問題について基本的なことを知りたい人は先に下記の記事をご覧ください。

年金払形式の生命保険が二重課税とは?

所得税を納め過ぎている人は還付の対象となるわけですが、確定申告などでどのようにすればいいのでしょうか。年金型生命保険の二重課税問題と確定申告についてお話します。

年金型生命保険の二重課税問題で還付対象となる保険契約・対象者

生命保険の二重課税に関することで対象となるかどうかのポイントは「相続や贈与」などで取得した生命保険や損害保険を年金で受け取っている人が対象になります。

具体的には以下の契約で、保険契約の保険料(掛け金)を負担していない人が対象です。

  1. 死亡保険金を年金で受給している
  2. 学資保険の契約者の死亡により養育年金を受給している
  3. 個人年金保険契約(保険会社で加入する年金)よる年金を受給している

家族で亡くなった方がいて、その人の関連する生命保険金を年金で受け取っていないかを確認してみてください。

生命保険の二重課税に関する還付の手続き

それでは生命保険の二重課税について還付の対象となる場合、どのようにしたらいいのでしょうか。

現在対象となっているのが平成17年分から平成21年分についてそれぞれの年で所得税が納め過ぎている人です。平成12年分から平成16年分については特別措置の検討がされています。

主な手続きは次のようになります。
  • 確定申告をしている年→更正の請求
  • 確定申告をしていない年→確定申告(還付申告)
確定申告をしていなければ確定申告で払いすぎた分を戻してもらう(還付)手続きとなります。確定申告をしている場合は、その確定申告の内容が違っていたわけですから、これを訂正して(更正の請求という)還付を受けることになります。

実際にはこの2つだけではなく、どう納税しているかによって区分が分かれます。また所得税の還付対象とならなくても、住民税や国民健康保険税が減額となり市区町村で手続きが必要なケースもあります。

国税局に自分が対象となるかのフローがありますから参考にしてください(PDFファイル)。

還付を受ける際の注意点

何よりも重要なのは自分がこの生命保険の二重課税に関連して還付対象となっていることを分かっているかどうかです。この記事を読むような人はあまり心配していませんが、周りにそういう人がいるようなら教えてあげてください。まだまだ理解していない人も多いと思います。

またこの件も税に関係することですから、いつまでも手続きOKというわけではなく当然期限があります。

更正の請求によって減額修正する場合、原則は申告書の提出日から5年間です。また確定申告(還付申告)は、申告する年分の翌年1月1日から5年を経過する日までです。

いずれも平成17年分の早いところに該当する場合、原則は平成22年12月末日となるため期限が過ぎてしまっている人もいるはずです。これらの期限は同じ人でも対象となる年ごとに判断する必要がありますから注意が必要です。

ただしこの二重課税に関わる還付の問題については、処理や手続きの中にははっきり決まっておらず検討している部分もあるようです。期限が切れていると思っても問い合わせだけはしてみましょう。

年金型生命保険の二重課税問題については、国税局からも見解が出ています。
手順やQ&Aなどもありますので該当しそうな人は参考にしてください。

いずれにしても面倒に思わずにすぐに行動することです。まずは気が付いたら早く問い合わせをしてみることが大切です。
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