年金払形式の生命保険、二重課税とは?
結論は二重課税に当り違法、原告側勝訴とした一審の長崎地裁の判決が確定しました。
今月に入ってから何度かこれに関連するニュースなどを目にする機会があったと思います。実際に保険販売の現場では、保険金が年金払形式となっている生命保険契約は普通に販売されています。
この記事を読んでいるあなたも該当する生命保険に加入しているかもしれません。この判決が生命保険業界にもたらす影響、契約者が知っておきたいことなど、年金払形式の生命保険と二重課税について解説しましょう。
年金払形式の生命保険が二重課税か争われたのはなぜ?
なぜ年金払形式の生命保険が、相続税と所得税が課税される二重課税となっていたのでしょうか。年金払形式で保険金を受取る生命保険契約の課税は次のようになっていました。1.相続発生時:年金受給権に対して相続税が課税
例えば夫が支払ってきた保険料で、これから将来受取れる年金総額は相続人である妻が受取る場合は相続財産として課税
2.年金受給時:相続人が受給する年金に対して所得税が課税
これから将来分割して毎月受取る年金という所得(もうけ)に対して所得税が課税
このように相続発生時と年金受給時それぞれに対して課税されていたわけです。これが今回二重課税ということで違法という判決がなされたわけです。
年金払形式の生命保険が二重課税ってどんな契約のこと?
それでは実際に年金払形式の生命保険で二重課税に該当するのはどんな生命保険契約なのでしょうか。ちなみに今回最高裁で争われたのは、第一生命の「年金払生活保障特約付終身保険(通称:わんつー・らぶ)」です。この生命保険商品は終身保険+定期保険特約+年金払生活保障特約という年金部分は特約で付帯されている商品です。
このように特約(オプションのこと)のケースもあれば主契約(メインの保険契約)で年金が受取れる単体の生命保険もあります。例えば保険の現場でよく販売されている収入保障保険は典型的な例の一つです(家族収入保険や生活保障など名称が異なることがあるので注意)。
他にも個人年金保険で本人死亡後に相続人が年金を受取る場合、子ども保険・学資保険で育英年金が付帯されている場合もそれぞれ還付の可能性があるでしょう。これらの保険についても今後同様の動きが出てくると思われます。
次のページで年金払形式の生命保険が二重課税との判決を受けて、すでに保険金を受け取っている人や今後の対応を解説します>>>>>>>>>>>>>>