企業年金・401k/401k(確定拠出年金)の基礎を学ぼう

401kなら会社負担ゼロで退職金制度が作れる?(2ページ目)

先日の新聞で「会社負担ゼロで退職金制度を導入、401kを活用」という話がありました。これ、あやしい話に聞こえますし、法律を読む限りおかしい話ですが、どんな仕組みでしょうか。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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これは本当に悪いやり方なのか?

こうした401kは王道のやり方ではありませんが、ちょっとした裏技のような形で大企業でも中小企業でもひっそりと用いられています。正式な統計はありませんが、10%くらいは利用されているのではないかと思います。

業界を見渡すと、まじめな人ほどこうした401kのやり方を批判しているようです。曰く「本来の401kの趣旨に反する」「税金や社会保険料逃れである」「実質的には退職金ではないので許されない」といった具合です。

確かにこれは「退職金ではない」といえます。本人の給与を減らさなければ積み立てられないわけですから。もしこうした制度を導入する直前に、会社が積み立ててきた退職金や企業年金制度を廃止しているのであれば、これは要注意です。
しかし、それをきちんとカミングアウトしているのであれば、許されないとまで否定する必要はありません。判断は社員ひとりひとりが自分できちんと決めればいいのです。

「税金逃れ」と批判する向きもありますが、税金はできるだけ減らせるよう努力するのは企業も個人も当然の行為ですから、あまり意味のない議論です。また、元々の退職金原資も給料も、本人の労働に起因して会社が払うお金なのは同じなので、性格が違うものではありません。(もちろん、これを理由に法律改正されたら、そのとき初めてNGということになります)。

「本来の制度の趣旨と違う」というのもあまり問題ではないと私は考えます。アメリカの内国歳入法401条k項も、元々は401kのために設定された条文ではなかったのですが、今ではアメリカで最大の企業年金制度であり老後資産形成の役割を担っています。民間の知恵を否定するより、うまく活かすほうがいいのではないでしょうか。

最近、私がよく主張していることに、「若い人ほど老後のお金を貯めるのが困難」というものがありますが、こうした方法であっても、老後の資産形成が行われるのであれば、名を捨てて実を取ればいいのではないかなとも思います。
特に中小企業の社員ほど、老後のお金を貯めにくい環境にあるのですが、効率的に貯めるチャンスになるかもしれません。

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