厚生年金基金廃止の議論に伴って始まる新たな制度?

2012年11月2日の夜(金曜の午後6時から会議!)、厚生労働省の会議室にて「厚生年金基金制度に関する専門委員会」が開催されました。これは厚生年金基金の廃止に向けた道筋を整理すべく行われるもので、最終的な法案提出に向けて論点整理や議論を深めることが目的です(スタート時点では何も確定していない、とされていますが、廃止に向けた試案の方向感に委員も本質的異論は出ていません)。

メディア等で既報のとおり、「10年で厚生年金基金制度は廃止の方針」「特例解散制度(すでに実施しているものをさらに修正)を5年限定で実施し、財政悪化基金には早期退場を促す」「短期的にはマイナスの運用結果を社員に負わせる確定給付企業年金を認める(最終的にはプラスを義務付け)」「ひとりひとりの運用負担を軽減する集団運用できる確定拠出年金(401k)を作る」といったアイデアが出されています。

筆者は企業年金が専門ですが、今後10年以上に及ぶ企業年金制度改革の入り口に再び立っているのかと感じています(日本版401kのスタートが決まった2000-2001年あたりが最初の改革期でした)。それぞれ興味深いのですが、今回は厚生年金基金の話題ではなく、集団運用型DCについて考えてみたいと思います(他でほとんど誰も論じていないですし)。

アイデアとしておもしろい集団運用型DC

厚生年金基金制度が廃止の検討をしているのであれば、その後の受け皿となる確定給付企業年金制度と確定拠出年金制度について拡充策が必要です。厚生年金基金を廃止しても企業年金を簡単に廃止されては困るからです。しかし、受け皿の制度があっても、採用の難易度・活用の負担が高いようでは廃止が進む恐れがあります。

そこで、先ほど紹介したようにいくつかの策が講じられる計画です。まず確定給付企業年金制度については「マイナス運用を社員の年金資産に反映できる制度」が提案され、確定拠出年金については「集団運用型DC(DCは確定拠出年金のこと)」が提案されました。

アイデアとしてはいずれも目新しいものではなく、規制緩和のリクエストとして期待はされつつも、役所にはスルーされてきたもので、これが実現の運びとなれば関係者としては嬉しいところです。

ただし、心配なところがいくつかあって、確定給付企業年金については、「短期的なマイナス運用であれば回復の可能性があるが、長期的にマイナスが続いたらどうするか」「退職給付会計上、本当に会社にメリットが生じるか(最終的にはプラスにして支給しなければならないため、退職給付債務が軽減されない場合、会社にとって魅力があまり大きくない)」あたりが気になります。

確定拠出年金についても、集団運用型DCの現実味がどのくらいあるのかが気になるところです。というのも、確定拠出年金の難しいところは個人に自己責任による資産運用を求められることだからです。具体的には、日経平均株価が9000円くらいだと半数以上の人が元本割れであり、日経平均株価が1万円を超えてくると8割近くが運用でプラスになるほどジェットコースター状態なのです。そうした負担が集団運用の形によって軽減されるのなら、ありがたいところです。

しかし、集団運用にすればそう簡単にいくのか、という疑問もわきます。
少し考えてみましょう。

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