激しい競争繰り広げる電力会社とガス会社
電気とガスの競争の激しさは、ハウスメーカーや業界のイベントに行けばわかります。例えば関東でしたら、東京電力と東京ガスがイベント会場に大きなブースを設けてピーアールに火花を散らしています。住宅設備や資材関連のメーカーのブースもあるのですが、規模や華やかさの点でこの2つは圧倒的です。IHクッキングヒーター。火を使わないため、火災の心配が少ないのが魅力。また、清掃がしやすいのも人気だ
ただ、現状では電気側にやや有利に状況が進んでいるようです。考えてみれば、給湯や調理は一昔前までガスの独壇場だったのです。それを電気が担うようになったわけで、特にガス側の焦燥は察して余るものがあります。昔にはなかったオール電化の住宅やマンションが、一般的になったわけですから。
ではなぜ今、電気なのでしょうか。ハウスメーカーの関係者に聞いてみると、真っ先に「安全性」と答えてくれました。まずIHクッキングヒーター。火を使わないことから、火事の心配が少ないことがあります。
オール電化住宅は防災の面で有利!?
特に、これからの高齢化社会において、お年寄りができるだけ安全に生活できるようにすることが求められています。火を使わずにすむIHクッキングヒーターはその点で最適であると考えられているようです。太陽光発電のパネル。オール電化と蓄電池を組み合わせることで、大地震などの災害時にエネルギーを確保しやすい「防災住宅」とすることができる
これは阪神淡路大震災の時の経験によるもので、復旧には電気が週単位だったのに対して、ガスは月単位だったのです。災害時に建物が無事であっても、エネルギーが供給されなければ生活は不便なままですからね。
できるだけ早く復旧する方が良いに決まっているわけで、そうした点で電気が有利というわけです。ハウスメーカーの中では、オール電化+太陽光発電システム+蓄電池を組み合わせた建物を「防災住宅」として提案しているケースもあるほどです。
このほか、近年普及が進んできた太陽光発電システムとの相性や、IHクッキングヒーターの清掃のしやすさなども、電気に人気が集まっている理由のようです。と、ここまでは電気が有利な感じ。では、次のページでガス側の方を見てみましょう。