6.人件費の削減
限られた経営資源をどう配分するか再検討しよう
具体的には以下のような手順が考えられます。
1.残業カット
2.賞与削減カット
3.退職者の不補充
4.新規採用の縮小
5.人員カット
人件費の削減は、経費削減という目に見える数字の面からは効果がありますが、一方で従業員全体の士気の低下を招く恐れもデリケートな問題でもあります。乱暴なやり方を採れば労働争議に発展する可能性もあります。人件費の削減を進める際には、社会保険労務士や弁護士などの専門家と相談しながら、慎重に進めることをオススメします。
7.リスケの可能性を考える
リスケジュール(リスケ)とは、借入返済が困難な状況になった場合、金融機関に返済条件の変更を願い出ることです。折り返しの銀行融資が必要な状況にも関わらず銀行融資での資金調達が上手くいかない可能性がある場合、ムリに融資返済を進めるだけではなく、リスケ(返済猶予、条件変更)の検討も同時にするべきです。借入金融機関にリスケ(条件変更、返済猶予など)を申し出る際には、通常、経営改善計画書の提出を行います。経営改善計画書とは、経営者が目指す会社の将来像を数値などで表し、それに向けて何をどのように変革していくのかなどを具体的に計画として示すものです。特に決まった書式はありませんが、ポイントは次の点です。リスケ(返済猶予・条件変更)による金融機関の協力があれば、近い将来に自社の経営状態が改善し、借入金を確実に返済できる状態に回復できるということを説得力をもって説明できるかどうかです。
経営改善計画書の作成を経営コンサルタントや税理士などの専門家に依頼するという手もありますが、オススメできません。社長自らが会社をどのように良くしていくのかをじっくりと考え抜いて、自分の言葉で表現しましょう。その熱意を金融機関に伝えることが重要なのです。
■中小企業金融円滑化法によるリスケ
今まで、リスケを行うと金融機関の格付けは下がり、その後の新規融資は困難になるケースが多いといわれてきました。また、そもそも金融機関はそう簡単に返済条件の変更などのリスケを行うことはしてきませんでした。しかし、厳しい経済情勢へ対応のため、時限立法による中小企業金融円滑化法(平成23年3月末日まで。国会の状況によりさらに1年延長予定)の施行により、返済条件の変更をしやすい環境が整っています。中小企業金融円滑化法により、金融機関は中小企業などの借り手の申込みに対し、できる限り、リスケ(条件変更、返済猶予など)に応じるよう努力することとなりました。
※中小企業金融円滑化法の詳しい内容については金融庁のホームページをご覧ください。
8.ビジネスモデルそのものの見直し
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉があります。負ける場合には必ず原因があるということですね。資金繰りが悪化するということはビジネスモデルそのものにも原因がある可能性が高いです。もう一度、現状のビジネスモデルのどこが原因なのか自己分析して改善していきましょう。今後も考えると惰性が一番怖いです。この際、じっくりと検討すべきです。マネジメントの父といわれるピーター・ドラッガー氏も述べています。何もないとしても、3年ごとに全ての製品、サービス、方針、販路などについて上手くいっているかどうかを問い、見直すべきです。そして、これを機に今まで利益を上げられた事業であっても時代と合わなくなってきたものは潔く捨てるべきでしょう。そして、時代に合った新しい製品、サービス、方針、販路などの検討を始めましょう。