資金調達・資金繰り/資金調達・資金繰りの基礎知識

ビジネスローンに頼らない資金繰り

事業をしていれば、良いときもあれば悪いときもあります。構造的な不況がこれだけ長引けば、資金繰りが行き詰まりそうになり悩むケースもあるかと思います。ガイドも税理士として資金繰りに行き詰まりそうなケースで対処法の相談を受けることが多くなってきました。日頃の経験を元に、資金繰りが厳しいときどのように対処すればいいのか、街金、ビジネスローンに頼らない資金繰りについて解説していきます。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド

事業をしていれば、良いときもあれば悪いときもあります。構造的な不況がこれだけ長引けば、資金繰りが行き詰まりそうになり悩むケースもあるかと思います。ガイドも税理士として資金繰りに行き詰まりそうなケースで対処法の相談を受けることが多くなってきました。日頃の経験を元に、資金繰りが厳しいときどのように対処すればいいのか、街金、ビジネスローンに頼らない資金繰りについて解説していきます。

1.銀行借入

資金繰りが厳しくても、早めに冷静に対処すれば大丈夫です

資金繰りが厳しくても、早めに冷静に対処すれば大丈夫です

資金繰りが厳しいことの原因として、黒字でも支出が先に出て回収が後になる収支ズレが起こっている場合や事業の赤字が続いてキャッシュが減少していく場合など、様々な要因によって運転資金が足りなくなっていることが原因の可能性があります。まずは緊急避難的な応急措置として、金融機関からの借入によって運転資金をまかなうという対策法があります。状況からして金融機関からの通常の借入は難しいケースがほとんどですが、以下のようにセーフティネット貸付などの公的制度が用意されています。まず検討してみてください。こうした公的借入などではなく、高金利のビジネスローンや街金などに安易に頼る対応だけはしないようにご注意ください。

■セーフティネット貸付
現在の世界的な金融不安、景気悪化の影響により中小企業の経営環境は非常に厳しい状況となっています。これを受け、国では景気悪化等の影響により売上や利益が減少している中小・小規模企業に対し日本政策金融公庫が貸付を行う制度を用意しています。

長期固定の低金利で融資を受けられるというメリットがあり、中小・小規模企業であれば、原則として業種を問わず利用できます。
※詳しい利用条件などについては日本政策金融公庫のホームページをご覧ください。

2.個人的な借入、出資の可能性を探る

金融機関からの融資審査を通過する可能性が低い場合などには、親戚、知人などから、一時的に個人的借入などの支援が受けられる可能性がないかどうか検討してみる必要が出てきます。頼ることができる人がいるかどうか、検討してみましょう。ただ、状況によっては今後の個人的信用に関わったり、頼った人をも金銭的問題へと巻き込んでしまう可能性もあります。そうしたことも踏まえて慎重に検討するべきでしょう。

3.冗費の削減

経営体質を改善し、資金繰りをよくするための基本は、「入りを量りて出づるを制す」です。ムダな経費(冗費)を削ることを検討しましょう。3Kともいわれますが交通費、交際費、広告費などから始めるのが通常のパターンです。ムダな支出を発見したり、さらに効率的な資金の使い方を見いだしたり、厳しい状況になって初めて気がつくことも多いはず。これをチャンスと捉えて、全社をあげて徹底的にムダなコストを洗い出しましょう。ただ、「もう今までさんざん取り組んだ」という場合もあるかもしれません。そうした場合、ムダの削減自体が時間的、労力的なムダになる可能性もあります。カンナで削るようなコスト削減には限界があります。他の手段も考えていきましょう。

4.毎月発生する固定費の削減

経費の中でも毎月一定金額が発生するような経費については高い見直し効果が期待できます。毎月一定金額が発生する経費が本当に必要な経費かどうか、代替的な方法がないかなど、この際見直しを検討していきましょう。代表的なところでは、オフィスの賃借料や通信費などです。こうした対策で重要なことは、実行は1ヶ月でも早いほうがいいということです。ただし、基幹業務についての外注費、顧問料など、経営全体に影響するような経費の見直しについては慎重に検討することをオススメします。

5.資産などの処分

稼働していない不動産、使用していない機械や工具器具備品、売るのが困難な在庫商品、損切りできる可能性のある有価証券、解約返戻金が期待できそうな保険契約など、処分可能な資産がある場合、処分して現金化できる可能性がないかも検討するべきです。売上に全く貢献していないにも関わらず、保管費用や税金などの維持費用が流出している可能性もあります。なかなか決断は難しいかもしれませんが、「見切り千両、損切り万両」ともいいます。限られた経営資源を有効に活かすためにも、費用の削減のためにも処分の可能性を探っていきましょう。

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