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相互厭人的読書生活5(3ページ目)

ガイドの読書記録です。今回は2011年1月26日~3月10日まで読んだ本をとりあげます。ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』、映画「キック・アス」の原作コミック、西村賢太『苦役列車』、朝吹真理子『きことわ』など。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

話題の本ガイド



芥川賞受賞作

きことわ

子供の頃を思い出す。新潮社刊。

芥川賞受賞作も読んだ。『きことわ』『苦役列車』。『きことわ』は、葉山の別荘で幼年時代をともに過ごしたふたりの女性、貴子と永遠子の再会を描く。夢と現実、過去と現在が絡まり合い、幼い日の記憶が鮮やかによみがえる。言葉がたゆたうような感覚が心地いい。

著者の朝吹真理子さんには「日経ウーマン」4月号でインタビューした。小さいころ、将来なりたいものはと訊かれるのが一番怖かったという話が興味深かった。

『苦役列車』の主人公は、北町貫多、19歳。家族は離散し、友達も恋人もなく、安酒と風俗だけを楽しみにその日暮らしをしている。自分勝手で辛抱がまったくできず、おもねるような態度をとったかと思えば暴言を吐く。貫多は現実に近くにいたら非常につきあいづらい人。日雇い現場でようやく話をするようになった同い年の日下部にもだんだん相手にされなくなる。でも、なんだか愛嬌があって、憎めない。

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