日本性科学会は1994年にセックスレスについて、「特殊な事情が認められないにもかかわらずカップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクト (ペッティング、オーラルセックス、裸での同衾など)が 1ヶ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」と定義しています。
2011年1月12日「第5回男女の生活と意識に関する調査」の調査の速報が発表されました。そこで、「この1ヶ月間は、セックス(性交渉)をしなかった」と回答した人が婚姻関係にあるカップルで、ついに4割に達したということで、多くのメディアで報道がされました。
これまでにセックスをしたことがある者(1,301人)に、この1ヶ月間のセックス回数を聞いたところ、「1回」15.1%、「2回」11.1%、「3回」8.2%、「4回」6.9%、「5回以上」8.7%となっています。一方、「この1ヶ月間は、セックス(性交渉)をしなかった」は45.3%という結果でした。
セックスに積極的になれない理由として「相手に飽きた」「魅力を感じなくなった」という本音に近い選択肢がないことや、配偶者に対してだけなのか、配偶者以外との関係も含めて、セックスレスになったのかの設問が曖昧な点で、分析するには欠陥のある調査ですが、既婚者のセックスレスが進んでいるということは事実なのでしょう。
今まで私が受けた相談では、「結婚したら豊かな性生活が待っていると思っていたら、恋人時代と比べ激減した。どうしたら良いでしょうか?」というケースが数件ありました。一方で、結婚している人や長期間のパートナーがいる人からは、今回の調査結果に対して「約6割のカップルが月に1回もセックスしているなんて、むしろその方が驚きです」という声も聞かれました。
「セックスレス=好ましくない状態」という前提が語られることが多いですが、そもそもセックスレスの何が問題なのでしょうか? 単純にセックスの頻度が多ければ幸福で、なければ不幸というわけではないでしょう。