食と健康/健康的な体型づくりと食生活

別腹・食べ過ぎ……メタボを招く「食欲」のしくみ

4人に1人はメタボの危険があると言われる日本。本来は必要な栄養だけを取るはずの食欲は、なぜ腹八分で満たされないのでしょう? 困った肥満を招く食べ過ぎを、今回は「食欲」のしくみから考えてみます。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

4人に1人はメタボの危険!?

メタボリックシンドローム,内臓脂肪

メタボ検診では、腹位を計り、内臓脂肪が蓄積していないかチェックします。

2011年1月に発表された厚生労働省の速報集計によると、メタボリックシンドロームを調べる「特定健康診査」(通称、メタボ健診)で、2009年度は14.7%がメタボに該当したことが明らかになりました。

この数値は、前年度とほぼ変わっていません。メタボ予備群も含めると27%になり、4人に1人はメタボリックシンドロームの危険性があることになります。

メタボリックシンドロームの診査では、血中脂質、血圧、血糖の基準、そして肥満(内臓型)かどうかをチェックします。多くの人が気にする「肥満」は、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多く、脂肪として蓄積してしまう状態です。

なぜ人は必要以上に食べ過ぎてしまうのか

肥満のしくみは持病がない限り、とてもシンプルなものです。それなのに、なぜ人は肥満になるまで食べ過ぎてしまうのでしょうか。食欲とは、食べたいという願望。「食べる」=摂食行動は、すべての動物が生きるために必要な栄養分を摂取するための本能的な行為で、複雑な摂食調節のしくみが備わっています。

半世紀も前から、脳の視床下部にある食欲中枢(満腹中枢、摂食中枢)が司令塔となり、空腹感や満腹感を調節していると考えられていました。

満腹感や空腹感は、食べ物によって胃が充満して胃壁が拡張したり、空っぽになって収縮することで神経が刺激され、脳に伝わると考えられています。

また食物中の糖類が分解され(血糖値の上昇)、インスリンが分泌されたり、血糖が脳に届いてセロトニンが放出されると満腹感が生まれ、食欲が抑えられます。血糖値が低下すると体脂肪が分解されてエネルギーがつくり出される際に血中に遊離脂肪酸が増えることで空腹感を覚えると考えられています。

空腹感は、例えばスパイスの香りや、おいしそうな食事のシーンを見るなど、脳を刺激することで食欲を生み出すというように、他にも条件が様々あるのではないかと考えられています。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます