しかし、私がこれからの自分に課しているのは、まったく正反対の取り組みです。
効率よりも、非効率によってもたらされる参入障壁を見つけ出すこと。再現性のある仕事よりも、他の人には再現できないアウトプットをすること。ロジカルシンキングよりも、直感と感性で価値を出すこと。アテのない予想よりも、来るべき世界を予見しそれに向かって取り組むこと。こういったことができる脳を私は‘クリエイティブ脳’と呼び、これを鍛えていきたいと思っているのです。
非効率によってもたらされる参入障壁を見つけ出す
非効率によってもたらされる参入障壁とは、量稽古のことです。例えばチラシを折って封筒に入れる作業を思い浮かべてみてください。10通や20通を折る段階では、ノロノロで時間がかかります。しかし、100通、200通とこなしていくと、スピードが上がり、同時に正確さも増します。繰り返しによって、脳の神経伝達回路が構築されるからです。
もし子どもから、「ピアノがうまくなるには、どうすればいいの?」と聞かれたら、あなたはなんと答えるでしょうか。ビジネスもそれと同じです。
一部の天才は別として、私のような凡人には、量稽古なくして上達はない、と考えています。ビジネスの立ち上げも、交渉もプレゼンも、すべて経験、量稽古の中で上達している実感があるからです。
ほかの人には再現できないアウトプットを創造する
他の人には再現できないアウトプットとは、たとえば今みなさんに読んでいただいている本コンテンツ。読者を行動に駆り立てるような文章が書けるかどうか。またこの人の文章を読んでみたいと思ってもらえるかどうか・・・。講演などでも、いつ聴いてもおもしろい!役に立つ!と言ってもらえるかどうか・・・。事業でも同じです。例えばソフトバンクの孫正義氏は、参入する事業のスケールが大きい。ニュースを見ても、「さすが孫正義氏だ」と思わずにはいられない。
私が手がける事業を見た人が、「さすが午堂さん」と思ってくれるかどうか・・・(苦笑)。
そのためにも、同じものを見ても、他人とは違うものが見え、違うことが言え、違う形で実現できるような観察力、表現力、行動力を磨いていきたいと考えています。
直感と感性で価値を生む
直感と感性とは、意思決定や決断の素早さ、正確さのことです。優秀な経営者がなぜ「直感」でも正しい判断になるかというと、過去の経験を脳内で瞬時に検索し、瞬時にいくつかのシミュレーションをしているからです。つまり直感とは、超高速のロジカルシンキングといっても過言ではありません。反対に、思いつきの判断はヤマ勘であって、丁半バクチみたいなものです。
そのためにも、リスクをとる決断、迷っても選ぶ判断など、「覚悟して決める」という経験を、もっと積みたいと考えています。
来るべき世界を予見しそれに向かって取り組む
来るべき世界を予見するとは、世界の大きなトレンドを捉え、そこから日本・業界・業種へとブレークダウンし、自分はどういう動き方をするかを考える、ということです。いわゆる俯瞰力です。木も見て森も見る。そして、それをTODOに落とし込む。森が見えたところで自分が何をすべきかわからなければ意味がありませんからね。
私自身、まだまだ読みが浅いし、自信もない。情報の読み方、その因果関係を想像する力もまだまだ足りない。政治経済の本を読むと、自分の読みの浅さに愕然とします。
「なぜそういうことが起こっているのか?」「このニュースは何の前兆なのか?」「ここから何が起こることが想定されるか?」ということを、小さな情報や目の前の出来事から推測する習慣を持ちたいと考えています。