Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

エコとエゴを両立する“デキのいい末っ子”A1

激戦区の欧州Bセグメントに新たに登場したアウディA1。それほどアウディに興味のなかった人がついつい引き込まれてしまう雰囲気と価格をもつ、正々堂々と“ミニ”クラスにチャレンジしたプレミアムモデルです。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

アウディに興味のなかった人を引き込む3ドアハッチ

アウディA1

国内では今年1月に発表された、アウディのエントリーモデルとなる3ドアハッチバック。サイズは全長3970×全幅1740×全高1440mm、価格は289万円

Kカーからスーパーカー、超ラグジュアリィサルーンまで、いちおうどんなクルマもやってくるわが家にあって、相方のクルマに対する目は相当に厳しい。目が肥えている。興味がないのではなく、自分も好きだから、よけいに“始末”が悪い。生半可なクルマには、とんと興味を示さない。だから、日産ジュークくらいカタチがぶっ飛んでしまうと、逆に“なんだ何だ? それ! ”という感じで食いついてくる。

年明け早々、羽田空港に行く機会があった。全日空の、新しいC、D搭乗口から乗るというので、カウンターに向かっていると、その先に赤いクルマが。ルーフアーチがシルバーに塗り分けられた洒落ものだから、こっちは即座に「エーワンか」と反応してみたら、相方も「何なに? 格好いいじゃない」と珍しく興味を示し、すたすたクルマの方に近寄っていくじゃないか。ナビ付きで289万円、と聞いて、さらに感心したようで……。(2011年3月末まで第2ターミナル出発ロビーではA1が特別展示されている)

その時、“あ、なるほど、A1ってそういうクルマなのね”、と思った次第。つまり、今までそれほどアウディに興味のなかった人がついつい引き込まれてしまう雰囲気と価格をもったクルマ、というわけだ。
アウディA1

AピラーからCピラーまでつながるルーフアーチはボディ同色に加え、オプション(6万円)で全10色のエクステリアカラーに合わせた4色のコントラストカラー(写真)が設定される。スポーツサスペンションなどを備えたスポーツパッケージ(15万円 写真)も用意された。54個のLEDを用いたリアコンビランプはオプション(スポーツパッケージは標準採用)

さて。アウディは、このクルマの販売台数を“純増”させることで、今年、年間登録台数2万台を目指すらしい。純増がミソである。やっぱり、興味のなかった人や、アウディ以外の層から“ひったくってくる”必要があるというわけだ。なるほど、冒頭のごとく、その可能性を大いに秘めたクルマではある。

激戦区のBセグメント(サブコンパクト)にあって、これほど“上級クラス”に対する引け目なく乗れてしまいそうなクルマはこれまでなかった。否、ミニやある種のホットハッチ、オープンモデルなど、ヒエラルキー外を主張することであえて独特のスタンスをとったクルマはあったが、A1のように言わば正々堂々と“ミニ”クラスにチャレンジしたプレミアムモデルはなかったのだ。たとえばクルマ好きや高級車好きが、ダウンサイジングしたいと思っても、なかなか適当で真面目なクルマが見つからない。A1は、そういうクルマだと思う。
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