世界のフォーマルウェア「KIMONO」へ
建物の空間が大きいニューヨークでは、派手な色や大柄が好まれる。
ニューヨークでパーティにお出かけになるお客様に着物の着付けをされる際、どのようなことに配慮なさっていますか?
Hiroさん:
日本と同じで、基本的なTPOを重視していますが、その基本を踏まえた上で、お客様の求めに応じたコーディネートをアドバイスしております。
しかし、日本に比べると建物の空間が大きいですし、信号や標識など身の回りのサインの色が異なりますので、色の表現としては、少々強めの色調が好まれます。室内の照明が間接照明が多く、日本に比べて暗いので、大きな柄が好まれるように思います。
また、着物は着こなしにより印象が変わるので、立ち姿やお辞儀の仕方、車の乗り降りなど、少しだけですが所作もお伝えいたします。
ガイド松本:
日本の伝統色には鮮やかな色もありますが、現代の日本では、どちらかといえばシックな中間色が好まれますが、白人や黒人の女性がお召しになった着物は、鮮やかな色が多いようですね。Hiroさんは、講演などもなさっていますが、日本の伝統色や配色をどのようにお話になっていますか?
Hiroさん:
色はとても難しいです。一言では何とも言えませんが、着物は生地の質感で、色の印象が変わります。例えば、私の大好きな琉球紅型の着物は、戸外的な鮮やかな色合いですが、室内では深い赤紫のような色である「深緋(ふかひ)」色が、太陽の光の下だと「弁柄(べんがら)」色に見えたりします。
また、生地の地紋によっても色のトーンが変わってきます。地味な幾何学的に見える地紋だと、色が鮮やかでも押さえた色調に見えたりいたします。色彩感覚として立体的な印象を与えてくれるのが着物の「色」なので、一概に、色そのものだけで配色を考えることは難しいと思います。また、絞りなどは、まさに色を立体化させていて、その躍動感を、一色という表現におさめてしまうのがもったいなく思えるほどです。
講演などでは、日本の色彩感覚として最も重視されたグラデーション(かさねの色目)についてお話しすることはあります。そうした面でも配色美は、着物にとって欠かすことのできないものだと思います。
ガイド松本:
日本人女性がインターナショナルなパーティに参加するとしたら、Hiroさんは、どのようなスタイリングを提案なさいますか?
Hiroさん:
日本人の女性と言うことにこだわりは無く、着物がインターナショナルなパーティーで着られることで、世界のフォーマルウェアとしての位置づけの獲得が出来ると思っております。そのためのスタイリングは、やはりその人の背景や出席する立場、TPOの重視をしております。
着物はその人の背景も美しく引き出し、そのパーティーの席を、豊かな空間にかえてくれるほどの力があります。世界のフォーマルウェアとして、パーティーの華になることと信じています。
ガイド松本:
ありがとうございました。
着物をお召しになると場が華やぐだけでなく、日本の伝統美の素晴らしさを未来へとつなぐ役割を担うことになるでしょう。今年は、着物を着る機会を増やし、着付けや帯結びを洗練させて、所作を磨いていきたいですね。
【プロフィール】
着物スタイリストHiro, Hiromi Asai
2008年夏、夫の仕事の関係でニューヨークに渡り、9月に「Kimono Hiro in NY」を創業。
2009年4月、ニューヨークタイムズ紙に取材記事が掲載、5月、Verizon Wirelessの広告で着物スタイリストに抜擢。テキスタイルミュージアム(ワシントンDC)、メモリアルアートギャラリー(ロチェスター)、ウォールストリートロータリークラブで講演ならびに着物スタイリングのデモンストレーションを行う。
2010年、「Mode & Classic LLC」を会社設立し、着物スタイリストとして、いろんなテーマや世界観を着物で表現・創造していく作品作りを中心として活動中。 全米、全世界に向けて、ファッションとしての着物の素晴らしさや表現の多様さを発信している。
【取材協力】
Mode & Classic LLC / Kimono Hiro in NY
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