土地活用のノウハウ/入居者ニーズとマーケティング

土地活用の新しいキーワード、それは「高齢者」(2)(2ページ目)

高齢者向けの土地活用は、非常に高いニーズがあります。事業化の検討には、まずお持ちの土地・建物が「高齢者のための住宅」にふさわしいかどうか調査・マーケティングして判断する必要があります。次に、運営主体となる事業者を見極める必要があります。また、「高齢者のための住宅」には、賃貸住宅系と施設系がありますので、どの方法がよいか検討するため、公的機関・団体に対する事前診断・相談が必要となります。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド

【高齢者向けの賃貸住宅の種類と概要】 

豊かな住まい

豊かな老後は、豊かな住まいから

○ シルバーハウジング
公営住宅やUR都市再生機構賃貸住宅などの公共賃貸住宅のうち、住宅をバリアフリー化するとともに、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)が、生活相談や緊急時対応などのサービスを提供するものです。

○ 高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)
床面の段差をなくし、手すりを設けるなどバリアフリー化した構造・設備が備わっているとともに、緊急時対応サービスが受けられる住宅として、都道府県知事が認定した住宅です。整備費及び家賃の減額に対する助成制度があります。

○ 高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)
高齢者の入居を拒否しない住宅として、都道府県知事に登録された住宅です。高齢者居住支援センターによる家賃債務保証制度を活用できます。

○ 高齢者専用賃貸住宅(高専賃)
高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)のうち、特に高齢者の単身・夫婦世帯を入居対象とするものです。入居者に対して食事、介護、家事援助などのサービスが提供されます。

【老人ホーム等の施設の種類と概要】

○ 特別養護老人ホーム
65歳以上の者であって、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においても常時の介護を受けることが困難な高齢者に対して、入所サービスを提供する施設です。要介護者(要介護1以上の方)が対象です。

○ 老人保健施設
要介護者に対し、在宅復帰を目指して、看護、医学的管理下での介護、機能訓練等の必要な医療、日常生活上の世話を行うことを目的とした施設です。要介護者(要介護1以上の方)が対象です。

○ 介護療養型医療施設
療養病床等をもつ病院又は診療所の介護保険適用部分に入院する要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話、機能訓練その他必要な医療を行うことを目的とする施設です。要介護者(要介護1以上の方)が対象です。
なお、介護療養型医療施設は、平成23年度末までに廃止されることになっています。

○ 軽費老人ホーム(ケアハウス、A型、B型)
家庭環境、住宅事情等の理由により居宅において生活することが困難な老人を低額な料金で入所させ、日常生活上必要な便宜を供与する施設です。
軽費老人ホームには、生活相談、入浴サービス、食事サービスの提供を行うとともに、車いすでの生活にも配慮した構造を有する「ケアハウス」を主として、他に食事の提供や日常生活上必要な便宜を供与する「A型」、自炊が原則の「B型」があります。

○ 養護老人ホーム
65歳以上の者であって、環境上の理由及び経済的理由により居宅での生活が困難な者を入所させ、社会復帰の促進や自立した生活を送ることができるよう必要な指導及び訓練等を行う施設です。

○ 有料老人ホーム
老人を入居させ、入浴・排せつ・食事の介護、食事の提供、洗濯・掃除等の家事、健康管理を提供することを目的とする施設です。
有料老人ホームには、ホームの職員が介護保険のサービスを提供する「介護付」、ホームは介護サービスを提供せず、入居者が要介護状態となった場合は入居者自らが外部の介護サービス事業者と契約して介護サービスを利用する「住宅型」、ホームは介護サービスを提供せず、介護が必要となった場合には契約を解除して退去する「健康型」があります。

○ 認知症高齢者グループホーム
認知症の高齢者が、小規模な生活の場(1単位5人~9人の共同居住形態)に居住し、食事の支度、掃除、洗濯等をグループホームの職員と共同で行い、家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることを目的とするものです。要支援者(要支援2のみ)、要介護者(要介護1以上の方)が対象です。

※ 問い合わせ先は、シルバーハウジングについては都道府県・市町村、高優賃については都道府県・政令市・中核市、高円賃・高専賃については都道府県の住宅担当部局です。また、高優賃・高円賃・高専賃については(財)高齢者住宅財団でも詳細を見ることができます。

※ (財)高齢者住宅財団では、高齢期の住まいを選択するにあたっての参考としていただくために、『高齢者の住まいガイドブック』を作成しています。内容をご覧下さい。

※土地活用をするべきか、アパートで行くべきか、福祉施設の可能性があるか?といった、前段階の診断・相談の場合でしたら、社団法人東京共同住宅協会 福祉事業部があります。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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