為替の値動きに隠されたクセを取引に生かす
下表にもあるように、外国為替はさまざまな国で取引されており、それが時間の経過とともに移動していくことで、24時間取引が可能になっています。東京市場が開く前は、オーストラリアのシドニー市場が取引の中心ですが、ここは取引参加者が少ないため、出来高が小さく、ちょっとした売り買いによって為替レートが大きくぶれるケースが見られます。
そのため、基本的にニューヨーク市場でクローズ(終了)した時の為替レートを参考にし、そこから大きく乖離するところで為替レートがついている場合にはあまり参考にしないほうが良いでしょう。
たとえば、ニューヨーク市場でのクローズの為替レートが1米ドル=100円で、シドニー市場では1米ドル=99円になっていたとしたら、その後、東京市場、欧州市場と徐々に取引高が増えていくにしたがって、再びニューヨーククローズの為替レートに近づいていくケースが頻繁に見られます。
短期トレードであれば、こうした値動きのクセを利用して、小さな値幅でも収益につなげていくことが可能です。
最も取引高が多いニューヨーク市場の動向がカギ
東京市場は、輸出業者による為替取引が頻繁に行われることもあり、その動向が為替レートに大きな影響を及ぼします。たとえば、貿易取引などに適用される為替レートが決められる午前10時時点では、ドル買いが優勢になります。あるいは、月曜日と金曜日もドル買い需要が高まり、ドル高が進みやすくなりますし、「ゴトウビ」といって、5日、10日、15日、20日、25日、30日もドル高になる傾向が強まります。
こうした傾向を見ておけば、ドル買いを行うことによって、短期で利益を狙うことができます。
ニューヨーク市場がスタートしてから約2~3時間、つまり日本時間の夜9~12時頃になると、需給動向はもちろん、投機筋の動きも活発になるため、為替レートが大きく動きます。夜9~12時頃といえば、ちょうど仕事が終わり帰宅した頃。1日のうちもっとも為替が動くときに取引ができるのは、日本に住む私たちにとって大きなメリットといえるでしょう。
経済指標発表前後は為替が変動します。そんなときのFX取引法は?
文・監修/鈴木雅光