事前予想値とのかい離が大きいほど、大きな取引につながる

米国では毎月第1金曜日に発表される雇用統計の発表時は、為替レートが大きく動く傾向にあります。発表される時間は、日本時間の午後10時半。サマータイム適用期間であれば午後9時半になります。

たとえば、2010年12月3日の午後10時半に発表された11月の雇用統計は、非農業者部門雇用者数の事前予想値が15万人増だったのに対し、実際の数字は3.9万人増に止まりました。つまり、期待はずれに終わったということです。

この結果、外国為替市場では猛烈なドル売りに押されました。11月末には1米ドル=84円近辺まで円安ドル高が進んでいましたが、この数字の発表を受けて、一気に1米ドル=82円53銭までドルが売られたのです。

もちろん、ここまで極端な動きになるのはまれです。この時は、事前予想値と実際の数字とのかい離が、あまりにも大きかったために、ドル売り圧力が一気に強まりました。これが、事前予想値にほぼ近い数字であれば、ここまで大きくドルが売られることもなかったでしょう。

そのため発表される直前まで、今回の経済指標の数字が、事前予想値とかい離するのかどうかを巡って、外国為替市場では駆け引きが行われるのです。


あまり深追いはしないことが大切

経済指標発表後の動きを利用して収益を得る場合、注意点がいくつかあります。

まず、経済指標が発表された直後にポジションを取ろうとしても、手遅れだということです。前出の例を見てのとおり、一気に大きく動きます。そのため、実際に発表された数字を見てからポジションを取ろうとしても、なかなかその動きにはついていけないでしょう。

したがって、経済指標が発表される前から、ポジションを取るようにします。事前予想値が、前月に比べて良いということであればドル買い、悪いということであればドル売りのポジションを持っておくのです。
そして、経済指標が発表された後、実際の数字が事前予想通りであれば、あまりあわてなくても良いでしょう。そのままポジションを持ち、様子を見ます。

ただ、実際の数字が事前予想値と大きく異なっていた場合は、素早い判断が必要です。特に、自分が持っているポジションとは逆の方向にマーケットが動いた場合は、素早く損切りをするべきでしょう。なぜなら、その時の自分のポジションは、間違った判断のもとで取られたものだからです。深追いはせず、いったん損切りを行い、次の機会に備えるのが得策です。
 

文・監修/鈴木雅光