来年の年金はどうなるのかしら?
今月14日~15日、このような報道がありました。
≪細川厚生労働大臣が、来年度の公的年金の受給額(もらえる金額)を、法律にのっとって、減らす方針と発言。しかし同日夜、菅総理は、特例措置で今年度と同額に据え置く方向で検討するよう指示した。≫
さて、「法律にのっとって」「特例措置」といった言葉から、来年度の年金受給額は、本来は減らされるはずのものであることがわかりますね。
では、そもそも年金受給額はどのようなルールのもとで毎年度、見直されているのでしょうか?
【INDEX】
■年金受給額はどう決まる?……P1
■物価スライド制とは?
■マクロ経済スライド制とは?……P2
■なぜ、今も物価スライド制なの?……P3
■年金保険料はどう変わる?
年金受給額は、物価スライド制で決められている
年金制度は5年に1度、大きな見直しが行われます。年金受給額についての大きな改正は、2004年に行われました。そのとき年金受給額は、これまでの「物価スライド制」から、「マクロ経済スライド制」というルールに変更されることになりました。しかし理由あって、現在も物価スライド制のルールが適用されています(理由は後述)。
物価スライド制とは?
物の値段と、年金額がリンクしているのね
物価スライド制は、物価の伸び(年金をはじめてもらう人は賃金の伸び)を年金額に反映させるというルールです。
消費者物価指数が前年と比べて上がったか下がったかによって、翌年度の年金受給額を決定します。物価が上がった場合、そのままでは暮らしが苦しくなるので、年金受給額も上げます。反対に物の値段が下がっているなら、年金が減っても暮らしへの影響は少ないでしょうから、年金需給額を下げる、という考え方です。
今年度の消費者物価指数は、昨年度の消費者物価指数よりも下がりました。だから、法律にのっとって来年度の年金受給額を0.3%程度下げると、細川大臣は発言したわけです。ちなみに、年金受給額の下げ幅が0.3%の場合、基礎年金額(国民年金から支払われる年金)は月額160円程度の減少です。小さな金額ですが、菅総理は、金額にかかわらず「年金を減らす」ということが与える悪印象を心配したのでしょう。
しかし、いずれはマクロ経済スライド制が適用されるようになります。マクロ経済スライド制については、次のページで解説します。