クメール料理はひと皿のなかに野菜やハーブがたっぷり!

カンボジア(クメール)料理は、タイ料理ほど辛くない。しかも、ひと皿のなかに野菜やハーブ類がたっぷりと入っているため、食べた後は身体がすっきり。さらには、比較的良心的な価格で料理が愉しめるときている。もうこれは、行かずにはいられない?!
カンボジア食紀行

野菜、ハーブ、魚などが豊富に使われるカンボジア料理

さあ、そんなカンボジア料理を愉しめるお店をご紹介しよう。
東京の小田急線町田の駅から徒歩1分ほど。路地の一角にある雑居ビルの3F、けっして至便とはいえないこの場所に、カンボジア料理「アンコール・トム」がある。移転前を含めれば、オープンして25年以上にもなる名店だ。ひたすら本国の味を守り続けてきた実力店でもある。

店内に一歩足を踏み入れると、壁やテーブルに飾られた異国情緒あふれる織物などが目に飛び込んできて、ふわり。一瞬のうちにカンボジアの風に包まれる。しかしながら、テーブルやイスなどは素朴な感があり、気軽に立ち寄れる雰囲気がある。適度に異国の雰囲気を感じながら寛げ、まさに普段使いができるレストランだといえるだろう。

料理はペーストから丁寧に手作りされる

そんな店内でいただける料理は、どれも野菜がたっぷり。しかも、新鮮な材料が使われ、ひとつひとつ丁寧に作られているのがわかる。以前、オーナーシェフであるペン・セタリンさんにキッチンのなかを見せていただいたことがあるのだが、石臼でこぶみかんの皮、葉、レモングラス等をトントンと潰し、ハーブペーストを作っていた。この店の味は、セタリンさんのおばあさまの味を引き継いでいるというのだが、カンボジア(クメール)料理の味の要となる“ペースト”には、いつも手間と時間を惜しまないそうだ。

スパイス

スパイスを石臼で潰すカンボジアのお母さん

なるほど。この店に刺激を求めて訪れるかたにとっては、いまひとつ物足りなさを感じるかもしれないが、そうでないかたにとっては、フレッシュな香りや旨みが料理を口にする度にじんわりと感じられ、何度も足を運びたくなってしまう。そんな不思議な魅力にあふれた店だと思うに違いない。

ワタシは先日、久しぶりにこの店の扉を開けたのだが、カンボジアを訪れたときの記憶が胸の引き出しからそっと解き放たれ、素朴という名の心地よい芳香とともに、スパイスをひとつひとつ丁寧に石臼でペーストにしていた、ホームステイ先のお母さんの顔がふっと浮かんだほどだ。

次ページで、「アンコール・トム」のおすすめメニューを紹介。