第三者が建物を診断するホームインスペクション
長嶋 修氏 不動産コンサルタントとしての活動のほか、国土交通省の検討会などの委員やマスコミ出演など幅広く活躍。「住宅選びこれだけ心得帖」(日本経済出版社)など著書も多数
長嶋氏 ストック住宅の購入には、良い物件を見極める力が求められます。ただそれは一般の方には難しいこと。ホームインスペクションというのは、建物の状態が現時点でどうなのか、専門知識を有する第三者(ホームインスペクター)が劣化の診断を行うというものです。人間に例えると健康診断のようなものですね。
ストック住宅といっても様々。以前、長嶋氏のセミナーで教わったことで印象的だったことがありますから、ここでご紹介しましょう。それは、ストック住宅はぱっと見だけでは、劣化の具合を判断しづらいということです。
ある一定期間を経ると、住宅の外観には汚れやクラック(ひび割れ)が目立つようになります。築後30年以上の建物にはクラックが少なからず見受けられると思います。クラックがあると、どうしても雨水が浸透して内部構造の劣化があると思われがちです。
素人目にはわからない建物の状態と価値
古い木造住宅にみられるクラック(ひび割れ)。ただ、これがあるからといって必ずしも建物の現状に不具合があるともかぎらないのが、ストック住宅を判断する難しいところだ
長嶋氏 逆のケースもあります。購入された後しばらくして2階の雨漏りがひどくなったという相談でした。床にたらいを置いたところまるで水琴のような状態に。この物件を診断したところ、建て替えをするしか対処方法がないことがわかりました。
これは本当に不幸な事例ですよね。さくら事務所はホームインスペクションの老舗。マンションや新築住宅を含め数多くの診断と検査実績から、ストック住宅についての様々な経験と蓄積あり、これ以外のも様々なケースに遭遇されているとのことです。
さて、次のページでは、ホームインスペクションでどのようなことを行うのかから話を進めていきます。