オープン化は今やスーパーカーの必須戦略

アウディR8スパイダー

2009年のフランクフルトショーに初登場したR8のオープンモデル。サイズは全長4445×全幅1905×全高1245mm。日本では5.2リッターエンジンと2ペダルMTのRトロニックを搭載したモデルのみとなる。価格はクーペのV10モデルより182万円高い2194万円

アウディのスーパーカー、R8にスパイダーモデルが加わった。スーパーカー界における“スパイダー化”は、今や必須戦略で、未だにターゲットマーケットが北米中心であることをよく物語っている。 軽量高性能モデルのオープン化(599GTOやガヤルドスーパーレッジェーラなど)まで見るに及んで、この風潮っていったい……。

それはともかく、R8にスパイダーは、それほど突拍子もない話ではなかった。どころか、そもそもR8に備わるデイリー性を考えれば、オープン化は待望と言ってもいい。毎日乗れるオープンのスーパーカー。なんと贅沢な話なことか。

クーペの空気に融合するデザインから、スパイダーでは風を切るデザインへ。特徴的なサイドブレードを取り払うことで、R8スパイダーのスタイリングは、クーペモデルほどの際立った個性をアピールしない代わりに、とてもエレガントで美しいスパイダールックスを手に入れた。

そのことを端的に表現しているのが、リアエンドのまとめ方である。クーペでは後端に向かってきれいに丸められていたのに対して、スパイダーではエッジを効かせた。そもそもオープンエアクルーズでは風を切って走るわけだから、そこで空気の流れを納める必要がなかった、というわけだろう。

長いドアを開け、ドライバーズシートに腰を落ちつけても、風を切っているという印象そのものは変わらない。ドアインナーパネルは立ち気味にリデザインされており、トップを開けても適度に包まれ感を与えてくれる。ここでも空気の“切れ”を演出したのだ。

オープンにしてエンジンをかけてみれば、冷間スタート時のV10エンジンの咆哮が、より一層ダイレクトにかつ鮮烈に鼓膜を震わせる。もちろん、走行中に聞こえてくるサウンドの迫力も断然クーペより上だ。
アウディR8スパイダー

エクステリアはオープン化に伴いサイドブレードがなくなり、エンジンカバーが取り付けられているなど変更を受けた。ソフトトップカバーなどに鉄より60%軽量な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を用いることで、オープン化による重量増を抑えている