子育てファミリーが重視した点、
見落とした点が明らかに
子どもの誕生、成長をきっかけに住まいを借り替えたり、購入したりする家庭は多いはずだ
国土交通省に
国土交通政策研究所というシンクタンクがあります。ここでは国土交通省の管轄にあるジャンルでのさまざまな研究が行われており、その中には住宅関連ももちろん、含まれています。その中に2010年9月の機関誌PRI Reviewに
「子育てに適した居住環境に関する研究(報告)」という調査結果が掲載されています。
いかにも省庁系の研究らしく(!)固いタイトルですが、内容を見ると、子育て世帯が住まい選びで重視した点と、実際に住んでみて満足している点の関連性を調べたもの。つまり、重視して選んだけれど、それで良かったの?、いや、見落としたのはどこ?ということが分かる研究となっており、これから住まい探しをする子育て世帯には役に立ちそうな内容。参考になりそうな点をご紹介していきましょう。
購入前に重視した点の満足度は高く、
重視しなかった点には満足できていない
利便性に関しては大半の人が細かくチェック、さほど不満に思うケースは少ない
言葉にすると、非常に当たり前に聞こえますが、住まい選びではどれだけこだわったかが満足度を左右します。この調査でも同様で、多くの人が生活の利便性を重視しており、その結果、スーパーや駅、バス停、病院、診療所などへの満足度は比較的高い数値が出ています。
その半面、住宅選択時にはさほど大事と思っていなかった、意識していなかった点が、実は住んでみると満足度アップに大きく寄与することが分かったという項目も少なくありません。これらの項目については、選ぶ際に意識しなかったことが、住み始めてからの満足度を下げる結果につながっているのです。
選択時には重要度の低い、
「街並みのきれいさ」が満足度を左右する
特に都心部で住まいを探す人は便利な場所だから仕方ないと街並みのきれいさを諦めるケースを聞くが、それが不満につながることも
その、見落としてしまったポイントとして多くの人が挙げたのは「周辺の住宅または街並みが整っていること」。つまり、きれいな街かどうかという点です。調査によると、多くの人は住まい選択時点に「緑・街並み」という項目中の「日常生活圏の静かさ」「身の回りの子どもの遊び場となるような小さな公園があること」を重視しており、街並みに関してはあまり関心が高くない様子。しかし、住み始めてみると、街の雰囲気が満足度につながるというのです。ここに住んでよかったという思いは、その街が好き、誇りに思えるという意識とつながっているはずですから、実用性には乏しいように思える街並みの美しさが、長い目では住み心地を左右しているというわけです。
住戸内の設備の有無は見れば分かることだけに、すぐチェックできるが、問題はそれ以外のチェック
しかも、住まいの情報のうち、価格や最寄り駅からターミナル駅への所要時間、設備などはインターネットやパンフレットなどからでも容易に収集できますが、街並みについては実際に行ってみないと判断しにくいもの。よくパンフレットなどでは、きれいな並木道やしゃれた店頭などが掲出されていますが、実際のところは行って確認するしかありません。面倒でも、現地を歩くようにして、満足度アップを目指していただきたいところです。
公園のほか、図書館や体育館その他、子どもと一緒に利用できる公共施設は近くに欲しいもの
ちなみに、公園は小さなものよりも、各種レクリエーションの楽しめる規模の大きな公園のほうが満足度に寄与するとも。子どもが小さいうちは、小さな公園でも良いのでしょうが、時間的に考えると、大きな公園で走り回る時期のほうが長いという意味と考えると、分かりやすいのではないでしょうか。
次のページでは街並み以外の
満足できていない他のポイントを見ていきましょう。