不妊症/人工授精・体外受精・顕微授精

体外受精の治療の流れ・排卵誘発法(2ページ目)

体外受精についての基本を3回にわたって解説。連載2回目の今回は、体外受精の治療の流れと排卵誘発法について解説します。

執筆者:池上 文尋

複数卵子排卵誘発法の種類

体外受精

体外受精はカラダの外で受精します

さて、前者の卵子を多く採る方法でよく使われる排卵誘発法のショート法、ロング法、GnRHアンタゴニスト法の解説を行います。

■ショート法
GnRHアゴニスト製剤の投与開始と同時にHMG(FSH)を使用する方法です。

GnRHアゴニストの初期のFSH(卵胞刺激ホルモン)濃度を高める作用を利用した方法で、発育してくる卵胞数が少ない方、卵巣機能が弱って来た高齢の方に効果的です。

■ロング法
HMGやクロミッドだけを投与すると排卵の途中で20~30%の割合で LHの分泌が認められます。それが卵子の発育に影響を与えることが分かっております。

ロング法では、GnRHアゴニストを 長期間使用することにより、このLHを抑えこみ、卵子が障害を受けずに発育できるように作用します。30~35歳の方に適用することが多いです。

最近では上記の排卵誘発の方法を抗ミュラー管ホルモン(AMH)値(註)と年齢を参考にして決める先生も増えております。AMHは、前胞状卵胞や小さな胞状卵胞(AF)でつくられ、血清AMH値は発育卵胞数を反映するものと考えられています。

よって、AMHの値が高い(10~25pM/mL)とまだ卵巣年齢が若いということで、ロング法を選択され、値が低い(10 pM以下/mL)とショート法を選択することになる訳です。

■GnRHアンタゴニスト法
月経3日目からFSH製剤やHMG製剤を注射し、卵胞がある程度発育してきたらGnRHアンタゴニストを注射する方法です。卵巣での早発排卵(卵子が妊娠に適した排卵の時期よりも前に排卵してしまう事)を予防する目的で行われます。

単一卵子排卵誘発法

経口排卵誘発剤であるクロミッドを活用した単一卵子を作り出す排卵誘発法です。周期を調整するのにピルを活用する事もあります。この排卵誘発法の特徴は毎月1個の卵子を作り出し、それを体外受精するというところです。

人間は通常、月に1個の卵子しか作らないので、その摂理に基づいて1個を排卵誘発させるところから自然周期排卵法とも呼ばれています。

治療の流れと種類の理解が大切な理由

今回は治療の流れと排卵誘発について解説を行いました。排卵誘発法は患者さんサイドにとっては非常に分かりにくいものだと思います。今回はできるだけ簡単に説明をさせて頂きました。

体外受精という治療は経済的にも精神的にも負担のかかるものです。それだけに1回の治療にかける思いというのは強いものだと思います。分からないままに治療を進めていくのは不安も大きいかと考えて、今回の記事を書きました。

次回は採卵、培養、胚移植についての詳細解説を行う予定です。

(註)抗ミュラー管ホルモン(AMH)値
成長過程の卵胞である前胞状卵胞内の顆粒膜細胞(卵子の周りを取り囲んでいる細胞)で、主に作りだされているホルモンです。

卵巣に存在する前胞状卵胞が多いと、その分、AMHを産生する顆粒膜細胞も多くなり、AMHの値も高くなります。

卵巣内の発育可能な卵胞数は、年齢とともに減少しますので、AMHの値も加齢とともに低くなる傾向にあります。

よって、AMHの値から、排卵誘発剤による卵巣刺激によって、卵巣内に発育を開始できる卵胞がどのくらいあるのかを予測することができます。(卵巣の卵子を作り出す力を把握する指標)。

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