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ゲームは遊び相手か、遊び場か

あるゲーム開発に携わる方とお話ししていた時に、すごく印象に残った一言がありました。「ゲームって、環境を提供するものになりましたよね。」これだけでは、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、実は、今のゲーム業界、ゲーム市場の現状を実に端的に表現しています。「環境を提供するものになったゲーム」をキーワードに、今までのゲームとこれからのゲームについて、考えてみたいと思います。

あるゲーム開発者の一言

ファミコンとDSのの図

かつてのゲームと、最近のゲームには、違う役割があるようです。

「ゲームって、環境を提供するものになりましたよね。」先日、あるゲーム開発に携わる方とお話をしていた時に、こんなことを言われました。これだけでは、ちょっと分かりにくいかもしれませんが、この一言は今のゲーム業界、ゲーム市場の特徴、かつて主流であったゲームとの役割の違いを端的に表現しています。

今回は、ゲーム業界が今までとどう変わっていったのか、そして、これからどうなっていくのかについて、この「環境を提供するものになったゲーム」をキーワードに、考えてみたいと思います。

かつて、ゲームは遊び相手だった

ファミコンをする子供の図

もちろん、友達とも遊べますし、子供達は集まって遊んでいましたが、1人でも遊べるというところに他のボードゲームなどとの大きな差別化要因があります。

まずは、今までのゲームというものがどういうものだったのかについて考えてみたいと思います。最初のゲームの役割というのは、遊び相手でした。例えばファミコン時代に任天堂が発売したベースボールというゲームがありました。

このベースボールというゲームは、今から考えると大変に単純なもので、投げて捕って、打って走ってというような、野球の基本的なことしかできません。しかし、1つ画期的だったこと、それまでのいわゆる野球盤と呼ばれるようなボードゲームとの大きな違いは、コンピューターが対戦相手をしてくれることです。友達との対戦は、ボードゲームでも、ファミコンでも、どちらでも遊ぶことができます。でも、1人で遊ぶ時には、ファミコンは相手役をしてくれますが、ボードゲームはしてくれません。ここが、それまでの多くの非電源ゲームと、テレビゲームの大きな違いであると言えます。

このことは、アクションゲームだとか、シューティングゲーム、あるいはロールプレイングゲームなどでも同じことです。この場合、ゲーム機は対戦相手ではなく、敵役を演じてくれます。主役である自分を適度に攻撃し、罠を張り、そして最後にはやられてくれる上手な敵役がゲームに求められました。

もちろん、今でもテレビゲームの役割として、プレイヤーの遊び相手になってくれるという要素は大きなポジションを占めています。対戦相手として、あるいはやられ役として。しかし、その役割は今、1番重要なものから、2番目、3番目に変わりつつあります。

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