長期優良住宅/長く暮らせる家

窓は日当たりではなく明るさで考えよう

日差しが降り注ぐ明るい家は快適な住まいの象徴ですが、住宅が密集した都市部では、必ずしも望む方向に窓がとれないケースもしばしばです。また、隣家や通行人の視線が気になって、カーテンを閉めたままで過ごさなければならないこともあります。今回は、窓のとり方を工夫して明るい家をつくる方法を考えます。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

窓が小さすぎると法律では居室として認められない

家を建てるときに大きく関係してくるのが建築基準法です。この建築基準法では、住宅などの建築物の居室には、窓などの開口部を設けることや、採光に有効な面積を規定しています。

日差しさんさんリビング

大きな開口部は明るく開放的な部屋をつくりますが、立地条件によっては周囲の視線が気になることも

採光に必要な開口部の面積は、単純に一定以上の面積があればいいのではなく、開口部が道に接しているか、隣地などの境界からどの程度の距離があるのかなどによって、有効の度合いの面積が計算されます。この計算された数値を採光補正係数といいます。採光補正係数は、住宅専用地域や商業地域などといった用途地域ごとに異なるので、建物が建つ場所によって必要な数値が違ってきます。

建築基準法で決められたこの採光補正係数から求められた有効採光面積をクリアしていれば居室として認められますが、クリアできない部屋は法律上は居室として認められないことになります。

有効採光面積がクリアしていても暗い部屋がある

では、建築基準法の採光有効面積の基準をクリアしていれば、すべての居室が明るく快適な空間になるでしょうか。隣家や通行人の視線が気になって、1日中カーテンを引いたまま過ごすのでは、明るい室内とはいえません。法律で算出された採光は確保できていても、法律上の採光と、生活をする上での実質的な採光とに大きな差のある家も多いのではないでしょうか。

また、建築基準法では採光面積についての規定は、当然のことながら、窓からどんな風景がながめられるかについて保証しているものではありません。つまり、法律上の有効採光面積をクリアするために、あまりよく考えずに開口部をとったために望ましくない景色が見えてしまうということもあるのです。

建築基準法を踏まえながら、さまざまな敷地条件にも配慮して、実質的に明るく快適に過ごせる家をつくる方法はないのでしょうか。

次のページでは、厳しい条件下でも、なんとか部屋を明るくする方法について考えてみましょう。

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