まずは、スポーツ選手をたくさん輩出していくことが、また違った観点での「豊かさ」であるという話の続きから。
スポーツは豊かさの現れである
身近にスポーツがあることは、実は豊かさのあらわれである。
今矢さん:日本は経済力があってとても豊かですけど、次の豊かさは何だろうと考えると「人間力」ではないかと僕は思うんです。自分で自立していける人がもっとたくさん生まれるということですね。そのために僕ができることが何かと考えたときに、自分はスポーツとすごく縁があって、アスリートを育てていくことは自分の経験を活かせることだし、自分の使命かなと思いました。
ガイド:世界を相手にしているアスリートの話を子供たちに聞かせてあげたいなと思いますね。
アスリートの課題
今矢さん:そのためには、アスリート自身がもう少し教育されなければならないと思います。子供たちに伝えたいことを伝えるには、やっぱり社会経験とかコミュニケーション能力を高めないと難しいと思うんですよ。大人になってある程度社会の仕組みがわかってから納得できるものと、子供のようにピュアな状態で吸収できるものは違うので、ちゃんと伝える技術を身につける必要はあります。競技者としては立派だし世界に通用するのかもしれませんが、教育者になった場合、子供たちに夢と希望を与える言葉を発せるかというと難しいかなと。もちろんその能力を持っている選手もいますけど、その数は圧倒的に少ないのが現実です。
ガイド:確かに、子供と大人は違いますから、どうやって伝えるのか?を考えなければなりませんし、その技術も必要です。
今矢さん:でもね、これは仕方ないことでもあるんですよ。そういう勉強の場とか環境を与えられてこなかったのも事実ですから。ずっとスポーツ1本で生きてきていて、スポーツ以外のことを考えていると集中していないということになってしまう。ある意味タブー視されていた部分でもあるような気がします。そうすると、なかなか本当に必要なバランスを教えてもらえない場合が多いように感じますね。