介護/介護の心構え・無理をしない介護

【取材レポート】遠距離介護のNPO法人パオッコ(3ページ目)

地方に住む親が要介護状態になった。でも、自分の仕事や家庭のことなどを考えると、同居するのは無理……。こんな理由から、遠距離介護を行う人は年々増え続けています。今回は、1996年から遠距離介護について取り組み続けているNPO法人パオッコと、2010年11月8日、大阪で行われたセミナーの模様などをまとめてご紹介します。

横井 孝治

執筆者:横井 孝治

介護・販促プロモーションガイド


大きな気づきを与えてくれた、
香山リカさんの特別講演

遠距離介護を中心に、親と子の関係性などについて講演された香山リカさん

遠距離介護を中心に、親と子の関係性などについて講演された香山リカさん

セミナーの後半では、精神科医の香山リカさんが「親の老後、自分の老後」と題した特別講演を実施。香山さん自身、北海道に暮らす親御さんの遠距離介護をしておられるそうで、週に1~2回は帰省しているとのことでした。

講演に先立って行われた太田理事長との質疑応答のなかでは、「診察中、『親の面倒を見なきゃいけない状況なのに、患者さんを診ている場合か?』と悩むこともある。でも、できるだけ自分の親のことと仕事のことを同次元で考えないようにしている」「親の目標は『介護をしてくれる人を育てること』ではなかったはず。子どもである私たちは、自立した大人に育った自分自身を、もっと誇りに思うべきでは」など、香山さん自身、遠距離介護を行うなかで葛藤している状況や、そこから抜け出すために考えておられることを披露。

講演中も時折ジョークを交えながらも、切々と親と子の関係のあり方を訴える香山さんの姿に、来場者も真剣に聴き入っていました。私自身も、自分が数年にわたって遠距離介護をしていた頃のことを思い出しながら、香山さんが語るさまざまなエピソードに何回も頷かされました。「すべてを完璧にやろうと頑張りすぎるのは、やっぱり良くないなぁ」など、改めて気づかせていただいた次第です。

NPO法人パオッコには、無料で入会できる

セミナーのほかにも、遠距離介護についてのアンケート調査やメールマガジンの発行、遠距離介護についての悩みを気軽に相談するためのネット掲示板の運営など、さまざまな活動を行っているパオッコですが、一般会員になるための入会金も年会費も不要。ホームページからメールマガジンの登録を行うだけで入会できます。会員になれば、遠距離介護セミナーや、東京で毎月開催されている「パオッコサロン」という勉強会&意見交換会の日程などを知ることができます。

現在、遠距離介護をしている人はもちろん、これからする可能性がある人も入会を検討してみてはいかがでしょうか。

遠距離介護コミュニティー NPO法人パオッコ

【参考書籍】すぐに役立つ離れて暮らす親のケア―ゴミ出しから、お金、人間関係、遠距離介護まで

【参考書籍】故郷の親が老いたとき―46の遠距離介護ストーリー
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