大きな気づきを与えてくれた、
香山リカさんの特別講演
セミナーの後半では、精神科医の香山リカさんが「親の老後、自分の老後」と題した特別講演を実施。香山さん自身、北海道に暮らす親御さんの遠距離介護をしておられるそうで、週に1~2回は帰省しているとのことでした。講演に先立って行われた太田理事長との質疑応答のなかでは、「診察中、『親の面倒を見なきゃいけない状況なのに、患者さんを診ている場合か?』と悩むこともある。でも、できるだけ自分の親のことと仕事のことを同次元で考えないようにしている」「親の目標は『介護をしてくれる人を育てること』ではなかったはず。子どもである私たちは、自立した大人に育った自分自身を、もっと誇りに思うべきでは」など、香山さん自身、遠距離介護を行うなかで葛藤している状況や、そこから抜け出すために考えておられることを披露。
講演中も時折ジョークを交えながらも、切々と親と子の関係のあり方を訴える香山さんの姿に、来場者も真剣に聴き入っていました。私自身も、自分が数年にわたって遠距離介護をしていた頃のことを思い出しながら、香山さんが語るさまざまなエピソードに何回も頷かされました。「すべてを完璧にやろうと頑張りすぎるのは、やっぱり良くないなぁ」など、改めて気づかせていただいた次第です。
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