装着感や使い勝手
「Triple.Fi 10 Pro」には、シリコン製のイヤーパッドが大、中、小の3種類、スポンジのように柔らかく、指で潰してから耳穴に入れるフォームタイプが1種類付属しています。筆者鴻池は、普段、長時間装着していても耳の穴が痛くなりにくいフォームタイプが好みなのですが、付属のフォームタイプは1サイズしかなく、筆者の耳には少し大きめで困りました。逆に小さく感じる方もいるようで、このあたりは改善をお願いしたいものです。音質面では、どちらのイヤーパッドを使っても、殆ど差は感じられませんでした。
話は変って使い勝手ですが、「Triple.Fi 10 Pro」の特徴は、なんと言っても、着脱可能なケーブルです。
ケーブルの左右(L/R)を入れ替えれば、一般に「SHURE巻き」と呼ばれる、ケーブルを上方へ出し、耳の上から後ろを通す装着方法も選択できます。
ケーブルが着脱できるものの、断線時に交換するための純正品は供給されていないそうですが、サードパーティーからは線材や長さの異なるケーブルが発売されているので、ユーザーの好みに応じてカスタマイズが可能です。
iPhoneを使用しているユーザーは、iPhoneでの通話や各種コントロールが可能な、「Triple.Fi 10vi」が別途発売されていますので、こちらを選択すると良いでしょう。
「Triple.Fi 10 Pro」は買いか!
対抗となる「SHURE SE530」と比較するならば、音質面では、低音の性格の違いに注目すると良いでしょう。「SHURE SE530」が柔らかで空気感や広がり感のある低音、「Triple.Fi 10 Pro」は、ドラムのアタックやベースの弦を弾く弾力感が持ち味といえますので、聴く音楽や好みで決めると、良い結果が得られるでしょう。装着感では、フォームタイプのイヤーチップが3種類(サイズ)付属し、耳穴へのフィット感が良く、イヤホン本体も丸みのあるデザインで収まりの良い「SHURE SE530」に軍配が上がります。発展性と言う点では、「Triple.Fi 10 Pro」は、ケーブルの着脱が可能と言う特技が光ります。装着方法を変えたり、ケーブルをグレードアップしたり、さらに位相を反転させたりと、いろいろな楽しみ方ができるでしょう。
「Triple.Fi 10 Pro」は約5万円と高価ですが、その独自の低音やケーブルの着脱機構に魅力を感じられれば、充分に価値のある製品だと、筆者鴻池は思います。