住宅購入の費用・税金/住宅ローンのしくみと選び方

住宅ローンの返済期間の決め方(2ページ目)

あなたは返済期間をどのように決めていますか。販売担当者が提案する35年返済を信じきり、他のプランを試すことを怠っていませんか。定年までに完済したい。15年で返済したい。など、自分の希望を明確にすることが大切です。返済期間が1年違うと支払うお金が変わります!?

大石 泉

執筆者:大石 泉

シングルのマンション購入ガイド

返済期間の決め方

返済期間の決め方欲しいマンションが決まり、住宅ローンの借入希望額が決まれば、住宅ローンの返済プランニングと進みますが、この段階であなたが自分の毎月返済可能額を把握できていなければ、ほぼ間違いなく35年の返済プランが提示されます。理由は簡単。これまでみたように35年という最長期間で組めば、毎月返済額が最少になり、負担感が減るからです。

ところが、この段階であなたがご自身の毎月返済可能額を把握していれば、その金額に見合った返済期間のプランを試算することができるのです。返済プランはひとつだけ試算して決めるものではありません。最長返済プランとジャスト期間のプランを比較し、より自分のライフスタイルに合ったものを選択すべきです。返済期間は1年刻みで設定できるので、両者の折衷案というプランニングもできます。

お勤めの方の場合には、定年までに完済することを想定して試算する方法もあります。例えば、定年が60歳で現在35歳ならば、まずは25年の完済プランを試算。その金額が毎月返済可能額よりも多かったならば、少しずつ長くし返済可能な金額に近づけていくという方法です。

先の(例2)で考えてみましょう。最初に最長プランの低い金額107,248円を見てしまうと、それより短期の返済プランはどうしても毎月返済額が高く思え、期間を短くすることに抵抗感が出てしまいます。ところが最初に定年完済・25年返済プランの134,585円を目にすると、27年、28年と返済期間を延ばすに連れて毎月返済額が下がるため気持ちも楽ですし、結果的に返済期間を短く組めるケースが多くなります。

返済期間を短くすることの留意点

自分の毎月返済可能額にジャストな返済期間を設定することは、総返済額を抑えるにも、短期返済においても大変有効です。ですが、いくつか注意しておくべきことがあります。一つは、「一旦、返済期間を短く組んだなら、よほどのことがない限り延ばせない」ということです。「20年返済でスタートしたが家計が苦しく、期間を延長して返済額を下げたい」という要望には、原則応じてもらえません。だからこそ、今と将来の家計に無理のない毎月返済可能額を慎重に算出しなければならないのです。

そのような場合は、当初は毎月返済額に余裕のある長めの返済期間でスタートし、大丈夫だとわかれば金融機関に条件変更を申し出、可能な範囲で毎月返済額を増額して返済期間を短くする方法があります。他にも、手元のまとまったお金を使って借入元本の一部を繰り上げ返済し、返済期間を短くする方法などもあります。

その他、毎月返済可能額を設定する際の注意点としては、毎月の収入から支出を引き算した数字と同額に設定するのではなく、将来の支出の増加、教育費の増加、変動金利の場合は金利の上昇分等ののりしろを見込んでおきたいという点です。1年でいくら支出が増額するか、と考えると難しくなります。

まずは、家計支出の項目をピックアップし、将来の金額が変動するものとしないものに分類。変動するものはどれくらい変動しそうかを試算し、足し算します。そうすると現在の毎月返済可能額に見込むべき金額がわかり、現在と将来の家計によりジャストサイズの毎月返済可能額を把握できます。ぜひチャレンジください。
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