一番搾りにしかない風味
ごまには約50%の油分が含まれています。1度搾った後、2~3度搾るか、薬剤を使用して搾り切れば、50%の油を抽出することができます。昔ながらの圧搾法で搾った一番搾りのごま油
へんこ手絞りごま油
(山田製油)
さて、一番搾りという贅沢なごま油が作られた後の油かす、もったいないと思いませんか? もちろん無駄にはしません。無農薬の茶畑の肥料や、鶏の飼料にリサイクルされています。まだまだ有効成分が多く残っているので、鶏もたいへん健康に育つと、好評なのだそうです。
職人の経験と感が冴える
炒り上がったごまは、圧搾され油となります。
次に「山田製油」では創業時から続けてきた製法なのですが、「湯洗い」という行程を行います。「湯洗い」と聞くと、ごまを洗うのかと思ったのですが、なんと搾った油を洗うのです。「菜種油」では見られる製法だそうですが、ごま油のメーカーで「湯洗い」をされているのは珍しいそうです。
ドラム缶に入れた約160リットルのごま油に約3%ほどのお湯を入れ、蒸気を油の中に吹き込んで温度を75度から78度に上げ、木製の攪拌棒でお湯と油をかき混ぜます。
温度を上げるのは、油の粘りをゆるくして水と混ざりやすくするためで、約20分かき混ぜたらドラム缶を密封して約3週間寝かせます。その間に、比重の重い水が不純物と一緒に沈殿し、旨味だけが油に残ります。
精製するために、職人さんが薪で炊きますが、長年の経験と感が冴える作業です。
自然熟成させた油の上澄みをとり、鉄釜に移して薪で加熱し残った水分をとばして「精製」します。
このときの温度も、ごまに含まれる有効成分が分解されるないように微妙な火加減を職人さんの技が発揮されます。最後に和紙を敷いた濾過機に入れて漉すとできあがり。約1カ月もかかって完成します。