食と健康/調味料・ハーブ・スパイス

健康食のごま製品は、どんなふうに作られる?(3ページ目)

古くから健康の維持増進に役立つ食べ物の一つとして人気の高い「ごま」。ごまやごま製品はどのように作られているのでしょう? 昔ながらの製法で一番搾りにこだわる「山田製油」にご協力いただき、その製法をご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド


一番搾りにしかない風味

ごまには約50%の油分が含まれています。1度搾った後、2~3度搾るか、薬剤を使用して搾り切れば、50%の油を抽出することができます。

ごま油

昔ながらの圧搾法で搾った一番搾りのごま油
へんこ手絞りごま油
(山田製油)

「山田製油」の場合は、「一番搾り」にこだわっているため、約30%に満たない量しか搾ることができません。そこにこだわることで「山田製油」独特の上品で軽やかな風味のごま油に仕上がっています。

さて、一番搾りという贅沢なごま油が作られた後の油かす、もったいないと思いませんか?  もちろん無駄にはしません。無農薬の茶畑の肥料や、鶏の飼料にリサイクルされています。まだまだ有効成分が多く残っているので、鶏もたいへん健康に育つと、好評なのだそうです。

職人の経験と感が冴える

ごま油

炒り上がったごまは、圧搾され油となります。

炒り上がったごまに圧力をかけて搾り、貴重な一番搾りをドラム缶に移し、常温で冷まします。

次に「山田製油」では創業時から続けてきた製法なのですが、「湯洗い」という行程を行います。「湯洗い」と聞くと、ごまを洗うのかと思ったのですが、なんと搾った油を洗うのです。「菜種油」では見られる製法だそうですが、ごま油のメーカーで「湯洗い」をされているのは珍しいそうです。

ドラム缶に入れた約160リットルのごま油に約3%ほどのお湯を入れ、蒸気を油の中に吹き込んで温度を75度から78度に上げ、木製の攪拌棒でお湯と油をかき混ぜます。

温度を上げるのは、油の粘りをゆるくして水と混ざりやすくするためで、約20分かき混ぜたらドラム缶を密封して約3週間寝かせます。その間に、比重の重い水が不純物と一緒に沈殿し、旨味だけが油に残ります。

精製,薪

精製するために、職人さんが薪で炊きますが、長年の経験と感が冴える作業です。

お湯を混ぜてすぐに漉せば簡単ですが、不純物の中には旨味成分も入っているため、あえて時間をかけて、ゆっくり沈ませるからこそ、独特の風味が生まれるそうです。

自然熟成させた油の上澄みをとり、鉄釜に移して薪で加熱し残った水分をとばして「精製」します。

このときの温度も、ごまに含まれる有効成分が分解されるないように微妙な火加減を職人さんの技が発揮されます。最後に和紙を敷いた濾過機に入れて漉すとできあがり。約1カ月もかかって完成します。

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