大部屋に入院すれば差額ベッド代は払わなくて済むが…
差額ベッド代がかからなければ家計も助かるが…
差額ベッド代を払うのは、環境の良い個室等での入院生活を希望(同意)して入院した場合だけであり、健康保険が適用される大部屋で入院する分には差額ベッド代を払う必要はありません。お金がないとか大部屋の方が寂しくなくて良いという人なら差額ベッド代を払わなくても済みそうですが、実はそう簡単に割り切れることでもなさそうです。
大部屋での入院となると、四六時中世代も違う他人との共同生活を送らなければなりません。テレビを観るのは必ずイヤホン、パソコンを使えない(病院によっては可能な場合もあり)、プライバシーはほとんどなし、家族や友人が見舞いに来ても遠慮しながら会話しなければならないなど、多くの制約を受けます。さらには、同室の人は全て病気やケガで入院しているのだから、肉体的や精神的に余裕がある(協調性のある)人ばかりとは限りません。夜中トイレに頻繁に行く人や、咳の激しい人、奇声を上げる人、独特な匂いのあるような人が同室にいるかもしれません。普段自由を謳歌しているような人にとって、このような環境下で入院生活を送ることは決して簡単ではありません。大部屋に入院したとしても後から個室への変更を希望することも十分考えられます。
また、大部屋に空きがなかったらどうしますか?空くまで入院を延期したり病院を変えたりできれば良いのですが、病状等によってはそれができるとも限りません。結果、差額ベッド代が必要な個室へ入院することも十分考えられます。
差額ベッド代は高額療養費制度の対象なの?
高額療養費制度とは、1ヵ月の医療費が一定額以上の場合に、その超えた分が保険給付される(負担しなくて済む)健康保険の制度のこと(詳しくは高額療養費制度の利用法(知らないと損する!?)で取り上げています)で、例えば月収が30万円の人なら、医療費を沢山払ったとしても1ヵ月の自己負担額は8~9万円程度で済みます。
差額ベッド代が高額療養費の計算上の医療費に含めて良ければ、負担の上限が設定されているので、差額ベッド代が必要な個室に入院しても負担をあまり気にしなくて済むのですが、残念ながら高額療養費の計算に含めることはできません。
先ほどの月収30万円の人だと、医療費の負担上限は高額療養費制度によって8~9万円程度ですが、その他に差額ベッド代を負担しなければなりません。仮に差額ベッド代が1万円で30日間入院したら、合わせて40万円近くなります。差額ベッド代だけで月収が全部なくなる計算です。環境の良い個室で入院しようとすると、やはりそれなりのお金が必要になります。
差額ベッド代は医療費控除に対象なの?