今回は犬の口・味覚についてのお話です。

口と頭部の形いろいろ

犬の口の形もいろいろです。口は頭部とも連結していますので、まずは口および頭部の代表的な形をいくつか見てみましょう。

紀州犬

紀州犬

日本犬に代表されるような頭部と口が犬としては自然で典型的な形。







ボルゾイ

ボルゾイ

大平原で獲物を追っていた犬には頭部が細長く、しなやかな体つきをもつタイプが目立つ。ボルゾイのように鼻筋の中ほどから鼻先に向かってやや傾斜している鼻の形をローマン・ノーズ(Roman nose)と言う。






チワワ

チワワ

頭部がリンゴのように丸くなっている形はアップル・ヘッド(Apple head)、またはドーム・ヘッド(Dome head)と呼ばれる。






ボストン・テリア

ボストン・テリア

丸いのがあれば四角もあり。ブロッキー・ヘッド(Brocky head)は頭部が角張って見える形。







イングリッシュ・ポインター

イングリッシュ・ポインター

横から見た時、鼻筋がお皿のようにやや凹んで見える形はディッシュ・フェイス(Dish face)と呼ばれるタイプ。







ブル・テリア

ブル・テリア

ディッシュ・フェイスとは逆に、鼻筋が弧を描いて盛り上がり、鼻先に向かって下がっている形はダウン・フェイス(Down face)







ブルドッグ

闘犬として雄牛と戦いやすい体につくり変えられたブルドッグ。

口が太くて肉厚、またはその状態で垂れているような唇をジャウル(Jowl)、もしくはチョップ(Chop)と呼ぶ。







ペキニーズ

ペキニーズ

幅が広く、肉厚な上唇部分はクッション(Cushion)と呼ばれる。








ナポリタン・マスティフ

ナポリタン・マスティフ

垂れ下がっている上唇をフルーズ(Flews)と言う。






同じ「犬」なのに、いろんな顔形がありますね。

相手に咬みつきやすいように改良されたブルドッグの口

ブルドッグ

闘犬として雄牛と戦いやすい体につくり変えられたブルドッグ。

人間と生活を共にするようになり、本来の野生であった姿が段々に変化していく様を馴化現象と言いますが、肉食動物が人間に飼い馴らされた場合、食事内容もあるのでしょう、咀嚼筋に影響が出て、特に顎の形や筋肉、頭部全体のつくりが少しずつ変化すると言われます。

ここに人間の手による繁殖が加わると、人間側の好みや都合といった要素も盛り込まれることになりますから、頭部のみならず体全体、性格的なものにも大きく作用してきます。犬という一つの動物種に、これだけ多くの種類(犬種)があるということがその証。野生であれば中庸であろうはずの鼻の高さや口の形も、ブルドッグのような極端な形にまで変えられました。

初期のブルドッグは今ほどマズル(口吻部)もつまっておらず、脚ももっと長くて、現在の姿と比べるとずっとスマートです。どうして現在のような姿になったのかというと、イギリスにおいて12世紀から数世紀にわたり娯楽の一つとして行われていたブル・ベイティングで闘犬として使われていたことによります。これは雄牛やクマを相手とした血生臭い競技で、1835年に禁止となりました。このブル・ベイティングで牛と対峙した時、よりダメージを与えられるように口は大きく太く、咬みついたままでも呼吸ができるように鼻ペチャで顎は突き出し、牛の角に引っかからないように体もコンパクトに変えられてしまったのがブルドッグなのです。これこそ人間の勝手な思いによる繁殖と言っていいでしょう。

これに関連して、こんな話を思い出しました。野生のキツネを人間の手によって繁殖させた時、ほんの数代で本来はなかった白い毛色が現れるようになったというのです。人間がどれほど経験や知識を活かして繁殖を考えてみても、とうてい自然のものにはかなわないということでしょう。

こういった人為的な繁殖の影響とは別に、自然が作用する体の変化もあります。たとえば、北方系の犬は総体的に体が大きく、ふっくらとした印象があり、被毛も密で中毛から長毛、耳は体に対してやや小さくなっています。いっぽう、南方系の犬は中型から小型が多く、被毛は短毛、耳はやや大きくなっています。耳の大きさは体の放熱量と関係があり、暑い地帯では体の熱を外に出しやすいよう耳はやや大きく、寒い地帯では熱をできるだけ逃がさないように耳も小さくなっていると考えられています。

犬には味がわかる?

さて、次は味覚のお話。犬にも味がわかるのかな?と考えたことはありませんか? 犬は味がまったくわからないわけではありません。味を感じるのは口の中(舌・喉・上顎)に味蕾(味細胞がたくさん集まって構成されている)と呼ばれる受容器官があるためで、ものを食べたり飲んだりすると、味蕾が感じ取った情報が電気信号として大脳の味覚中枢に送られ、「甘い」「しょっぱい」など味を感じることができるのです。味蕾のほとんどは舌に存在しますが、その数は人間が数千~約9000個あるのに対して、犬は約2000個と言われます。成長とともに数が増え、高齢になってくると数が減るようです。

犬の味蕾は人間と似たような部位にあるので、基本的な味である「甘い」「しょっぱい」「酸っぱい」「苦い」はわかります。ただ、食べ物をよく噛まずに丸呑みする食性をもっているだけに、味覚に関しては人間のように繊細な感じ方はできないでしょう。特に甘味に反応しやすいようで、サツマイモのような甘いものを好む犬が多いのもうなづけます。また、しょっぱいものにも慣れやすいので、塩分の与え過ぎには注意を。時々、薬や苦いものを口にした時にぺっと吐き出すことがあるのは、匂いなどの他に、もしかしたら味もわかっていて吐き出しているのかもしれませんね。

犬も健康は歯から

歯を健康に保つことが体全体の健康につながるということは人間も犬も一緒です。歯については以前書いた記事を参照してください。

デンタルケア:「犬の歯について学ぶ」編
デンタルケア:「歯周病と、その治療」編
デンタルケア:「歯周病予防と、歯磨き」編

あくびが出る時は、「ちょっと落ち着こうよ」という意味のことも

犬も眠くなるとあくびが出ることがありますが、別の意味の場合もあるのです。

「散歩しているのはいいけど、ママったら途中で知らない人と話を始めちゃって。その人、僕の体を撫で回すんだよね。べつに不愉快ではないけど、ちょっと緊張しちゃうなぁ」とあくびが出る。

「ママの友達が小さな犬を連れて僕の家に遊びに来た。でも、そいつ、なんだか落ち着かないみたいでさっきからワンワン吠えてばっかり。大丈夫だよ、僕は何もしないから」とあくびをしてみた。

このように、あくびには自分や相手を落ち着かせるというような意味合いもあるのです。一般的にカーミングシグナルと言われているものの一つ。もし愛犬が興奮し過ぎてちょっと手に負えないなんていう時には、自分があくびをしてみせると愛犬も落ち着くことがあります。気軽に使える方法なので、試してみてはいかがでしょうか。ただ、あくびをしているからといって何でもかんでもこのシグナルであるとは限りません。周りの状況をよく観察するようにしましょう。

その他、体の同じ部分をしつこく舐めていたり、齧っているような時、また口臭が感じられるような時は、犬がなんらかのストレスを感じている場合もありますので、生活環境や愛犬への接し方、健康状態など今一度チェックしてみるといいでしょう。


「引越に親犬あごがくたびれる」という川柳があります。巣穴を移動しようと、産んだ子犬を一頭ずつくわえて新しい巣穴に運んでいく母犬の姿が想像できます。人間のように手を器用に使えない分、その代わりとなるのが口。犬の口はそれだけ優しくものを咥えることもできるのです。私達が考えている以上に繊細なパーツだと言えるのではないでしょうか。


参考資料:
「犬の用語辞典」大野淳一著/誠文堂新光社
「犬の歴史と発達 イヌはどこから来たか」大野淳一著/誠文堂新光社



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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。