外貨と気軽に付き合う方法として外貨預金がありますが、中国元を取り扱っている邦銀は日本にはありませんでした。中国政府が投機的な取引を規制していたためです。中国元を扱えるのは、輸出入や中国旅行の時など実需のある人だけで、投資目的には開放されていなかったからです(唯一、中国銀行Bank of China東京支店だけが人民元預金を提供していました)。

HSBCが始める人民元業務

しかし、この10月12日から日本での預金が可能となりました。やってくれます!HSBC(香港上海銀行)です。その取扱い概要は以下の通り。

・HSBCプレミアを利用する預金者のみが利用できます
・普通預金と1~3か月の定期預金が利用可能
・金利は普通預金0.1%、定期預金0.3~0.5%
(HSBCプレミアとは預け資産1,000万円以上の客へのサービス)

香港での長い実績と強力なネットワークを持つHSBCならではのユニークな金融商品の登場です。日本の多くの個人投資家の熱い期待に応えての、人民元の取り扱い開始です。これでHSBCでは23通貨を取り扱うこととなります。日本では最多の取扱い通貨数です。

中国元での預金開始に引き続き、HSBCではこれもまた日本初となる中国人民元建社債(円貨決済型)を2010年10月26日に発行します。人民元建で発行され、支払いは円貨でなされます。期間10年、利率は年2.10%となっています。

中国元の為替差益を狙う

中国から世界中への輸出が増えています。そこで元が国際通貨として、急速にその認知度が高まってきました。その一方で、ドルを下げたいアメリカは中国元の切り上げを繰り返し要求しています。その昔に日本円が1ドル=360円から200円にまで一気に切り上がったように、成長著しい国の通貨は高くなります。

中国元高を狙って元の外貨預金をもくろむ日本人投資家がいるのも事実ですから、今回の元預金の開放はまたひとつ投資家の選択肢を増やしてくれることになるでしょう。

為替の世界は複雑怪奇

ただし、為替レートの行方は「神のみぞ知る」。たとえ、中国元が米ドルに対して切り上がっても、日本円も高くなれば日本人が元高の恩恵を直接受けることはできません。また、年利1%未満のリターンが年間8%超の成長を続ける中国経済に期待する投資の成果としてリスクに見合うものなのか?慎重な見極めが必要です。

その上に、中国の政治リスクも見捨てがたいものがあります。何しろ、一党独裁政治ですから。

海外投資の基本は現地通貨建てで、現地の株や債券に投資することであることを付け加えておきます。
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