高遠そば
北尾トロが「本の家」の隣にある「壱刻」というそば屋を教えてくれた。ここは「高遠そば」を出してくれる。高遠そばの特徴は、そば猪口に大根の絞り汁が入っている。ここにそばつゆ、大根おろし、味噌、ネギを入れる。
そばを食べながら、先ほど「高遠ブックフェスティバル」の本部でもらったイラストマップを見ながら北尾トロがいろいろ解説をしてくれた。ランチにしろ夕食にしろ、おいしいのは「ながせ」だと来ちゃ尾トロが言う。お勧めは何かと聞けば「ニラレバ」か「レバカツ」だと教えてくれた。
「ながせ」で「おたぐり」を食べる
予約してあった竹松旅館にチェックインしたのは午後3時過ぎ。すでに風呂に入れるというので、ひとっ風呂あびて、休憩。宿の御主人はこのブックフェアで行われる北尾トロ原作の『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』の映画の試写会があり、それに行くのだと言う。僕らも誘われるが、東京で試写を見たのでとお断りして、夕食を食べに行くことにした。
北尾トロ推薦の店「ながせ」へうかがった。いきなり店内の黒板に残念なお知らせ。「問屋さんが連休のため、レバが入荷せず、レバカツ、レバニラができません」とある。くーっ、まいったなぁ。それで他の料理をあれこれ頼む。まずは「おたぐり」という馬の腸の料理。僕はちょっとニガテだが、嫁はおいしいと食べていた。
あとで調べたら、馬の腸をたぐって出すから「おたぐり」というのだそうだ。そういえば、この「ながせ」だが、かつては寿司屋だったのだろうか、カウンター前にはネタを入れておく冷蔵庫のケースが使われないままあった。
さらに「ソースカツ」などを注文したが、たしかにここはどの料理も旨い!
これが「レバニラ」
しかし、レバがどうにも食べたい、そんな思いから翌日(21日)のお昼時、再び「ながせ」へ行ってみた。暖簾をあげて、レバがあるかと聞けば、今日はあるとのこと。というわけで、「レバニラ」600円を注文してみた。これが、実に驚き。東京の中華料理屋で注文する「レバニラ」とはかなり違う。あくまでも「レバ」が主役である。ニラは脇役。本当にこれは美味しかった。
そして伊那谷のご当地グルメ「ローメン」
高遠の町では「ローメン」の幟を何本も見た。それで北尾トロに「ローメンとはなにか?」と尋ねてみたのだが、どうも表情が冴えない。「まあ、あんまりお勧めはしないけど、麺にコシのない汁焼きそばってかんじかなぁ」と言う。どこがおいしいかと聞いておいたのだが、「とまり木」という店がうまいとのこと。しかし、この日の昼、「とまり木」は開いていなかった。で、あらためて「ながせ」である。ここのお昼のメニューとして黒板に「伊那谷名物 ローメン 680円」と書
いてあった。しかし、食べている人は誰もいない。
ほぼ満席のお客さんが食べているのは「巷でうわさのいくらかけご飯 980円」ばかりである。もう、全員がそれである。ここで勇気を振り絞って注文してみた。
北尾トロによれば、最初は羊の肉を使っていたらしいが、「ながせ」の「ローメン」は豚肉であった。キャベツが載っていて、甘辛いスープが底に少しだけある。同時にお酢と七味が出てくる。これをかけて味を調えるようだ。おもしろい料理だと思うが、意外性はない。見たままの味である。これはこれでおいしいが、もっと可能性がある料理のような気がした。もっと進化していいのではないだろうか。汁なしのラーメンのようなアプローチがあってもいいのではないかと思った。
さあ、次ページでは高遠城址公園まで歩きます