プリント・クラブ
ガイド:
オープニングの「プリント・クラブ」は、今回のアルバムのテーマを示唆する曲に聴こえます。資本主義における少女の煩悩と言ってもいいのではないかと。
松永:
「108色の口紅」は薬師丸ひろ子主演で撮られた、資生堂の企業CMから。
先生:
「初恋」ですね。言われて初めて気付きましたが、PVに登場するセーラー服のよこたんは薬師丸ひろ子へのオマージュなんだ。
松永:
80年代。広告と芸術が仲睦まじかった時代。モノが売れない現代を嘆き、当時に戻りたいとも別に思いませんが、少女たちと資本主義の共犯関係は不滅であり、それはいつの時代も我々をかどわかさずにはいられない、そう思うのです。僕が中高生の頃に社会問題化していた「援助交際」ではありませんが、少女たちは過去も、今も、これからも札束や文化を回転させるガソリンであり、広義の意味で「売春」していく存在であり続ける。原動力? 恋愛でしょうか。少女たちが夢を見るたび、その夢は同時に誰かの夢にもなる。夢の売春行為は、おニャン子の時代もAKBの時代も変わらない。「少女の証明」とは、資本主義にプリントされた複製芸術としての「不在の少女」を証明する営為に他なりません。
アーバンギャルド「プリント・クラブ」PV
先生:
PVにもアイデアがありますね。
松永:
プロパガンダ・ヴィデオは「前衛都市への手紙」という企画で、リスナーの皆さんから公募した手紙を再編集して制作しました。
ガイド:
ちなみによこたんの煩悩は?正直にお答えください。
浜崎:
お金?(即答)先生、煩悩ってナンですか?よこたん分かんない。
傷だらけのマリア
ガイド:
よこたんの場合、存在自体が煩悩かもしれません。
先にシングル発売された「傷だらけのマリア」も、証明の一つだったんですね。アルバムに違うヴァージョンを収録してほしいというファン心理を理解するアーバンギャルドは好きです。
松永:
今回の「proof mix」では、アウトロで論述形式の証明を試みています。「聖的」な傷だらけのマリアが「生的」に転位される六十秒。神の存在を言葉で証明することはできませんが、声を紡げば紡ぐほど、それは人間の生を確認する手立てとなる。十字架が誰のものでもないことを証明するために、必要な六十秒だったんです。
浜崎:
個人的には一つの楽曲につき、発表されたアレンジで完成とはあまり思いたくない部分があります。勿論発表する際には自信をもってそのかたちを発表しているのですが、その曲の持つ色んな顔を見てみたいと思っちゃいます。アレンジ、ミックスに変化をもたせることによって自分達も気づかなかった楽曲の違った顔が見えたり、新たな発見があったり、面白いです。常に遊び心を持って創作したいですね。 真面目に語っちゃった。
アーバンギャルド「傷だらけのマリア(オリジナル) 」PV