/犬が快適な環境づくり

犬の迎え方・慣れさせ方のポイントとは? 飼い主さんの努力次第!

子犬の迎え方、慣れさせ方のポイントをご紹介いたします。子犬時代は犬として多くのことを学ぶ大事な時期。だからこそ、なるべく失敗の少ないように育てていきたいものですね。さまざまなよい経験を通して、いい子に育てられるかどうかは、飼い主さんの努力次第です!

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

犬の迎え方・慣れさせ方のポイント

犬の迎え方・慣れさせ方のポイント

犬の迎え方・慣れさせ方のポイント

子犬を迎え、新しい生活のスタートです。しかし、子犬時代は犬として多くのことを学ぶ大事な時期。だからこそ、なるべく失敗の少ないように育てていきたいものですね。そのためのポイントとなるお話です。
   

しつけと性格形成に大切な社会化の時期

ミニチュア・シュナウザーの子犬
子犬期~成長期、犬は多くのことを学ぶ。
待ちに待った子犬がわが家にやって来る! 胸弾むところですが、その前に、どうやって子犬を迎えたらいいのか、どうやって育てていったらいいのか、ある程度の知識を蓄えておきましょう。

まず知っておいて頂きたいのが、子犬の「社会化」について。人間の子供も育てられた環境や経験が後の成長に大きな影響を与えることはよく知られていますが、犬であっても同じ。子犬時代に犬は実に多くのことを学びます。それは犬としてのつきあい方だったり、猫など他の動物や周囲の環境への対応だったり。どれだけ「いい経験」を「多く」させてあげることができるか、これがポイントとなります。この社会化がうまくできるかどうかで、しつけもよりスムーズに入りやすく、性格的にもより穏やかで落ち着きのある子へ育てることが可能なのです。

昨今、犬の問題行動という言葉がたびたび取り上げられるようになりましたが、社会化がうまくできた犬は問題行動を起こしにくいと言われています。犬と楽しく暮らすためにたくさんの「いい体験」をさせて、うまく環境に慣れさせてあげてください。
 

子犬の成長段階

犬の成長は早いものです。その成長スピードとは、いったいどのくらいのものなのでしょう? 簡単にご説明しましょう。

犬の成長期は以下のように分けることができます(以下の数字はだいたいの目安です。専門家によっては細かい数字が若干異なることを心おきください)。
 
  1. 出生前
    母犬のお腹の中にいる間
  2. 新生子期
    生まれおちた日~生後12日くらいまで 
  3. 移行期
    生後12日くらい~生後3週齢くらいまで 
  4. 社会化期
    生後3週齢くらい~生後3ヶ月くらいまで 
  5. 若年期
    生後3ヶ月くらい~性成熟する頃まで 
  6. 成熟期
    性成熟以降
 

大切なのは「社会化期」からの飼い主の育て方

人間の赤ちゃんでも胎教という言葉があるように、お腹の中にいる子犬にも母犬の肉体的および精神的健康度は影響します。まだ目も見えず、耳も聞こえない新生子期にあっても、母犬や兄弟、人間とより多く触れ合った子犬はストレスに対しても強い子になり、発達が早いと言われます。移行期になると体の感覚器などが発達してくることから、外界からの刺激に対しても反応するようになり、少しずつ多くのことを学ぶようになるでしょう。

この中で最も社会化に適している時期とされるのが、4番目の生後3週齢~生後3ヶ月くらいまでの間にあたる「社会化期」です。多くの場合、子犬を連れて来るのは、この社会化期にあたる頃でしょう。生後3ヶ月までの間に、どんな環境で、どんな経験をして育ったかが後の成長に最も大きく影響すると言われ、それまでの繁殖者の育て方も大事なわけですが、これから飼い主となる人の育て方がもっと大事になります。

しかし、大切なのはなにもこの「社会化期」だけではありません。社会化期を過ぎると、それまでの好奇心より警戒心や恐怖心のほうが勝ってくるので、より多くの経験をさせてあげたい時期となります。たとえば知らない人と出会っても怯えたりせず、冷静でいられるように。車やバイクの音に驚いてばかりいては散歩も落ち着いてできませんし、何より犬にとっては精神的にも負担です。こうしたことは、より多くのいい体験をさせてあげることでだんだんと慣れていけることでもあるのです。成長するごとに咬む力も強くなってきますから、生後4ヶ月半~5ヶ月齢くらいまでには他の犬とたくさん遊んで、どのくらい咬むと相手が痛がるのかということも学んでいく必要があります。

成熟期に入るともう覚えることもない、しつけも無理だろうと思ってしまうのは間違い。犬はいくつになっても学ぶ力を持っています。ただ、一生を通して時期により、その吸収力の密度が違うということです。犬は人間に比べ、短い時間の中で目まぐるしく成長していくのです

これらを頭に入れたところで、実際に子犬を連れて来てくる時の注意点について。
 

子犬は日中に迎えに行く

チワワの子犬
家に連れて来てからは、まずはゆっくり休ませてあげよう。
子犬を迎えに行く時間は、できるだけ明るいうちのほうがベスト。ただでさえ慣れない、初めての環境に移るわけですから少しでも安心をさせてあげられる時間を作りましょう。翌日が仕事や学校などで家族が忙しい日より、週末や祭日など翌日もゆっくり子犬の面倒が見られる日であるとなおいいですね。
 

連れて来たら、まず静かに休ませる

すでにベッド(ハウス)やトイレは設置してあるはずです。まずはサークルの中に入れて、ゆっくり休ませてあげましょう。慣れない場所に連れてこられたこと、移動したことだけでも、子犬には不安や疲れがあるはずです。最初の数日はあまりかまわずに、なるべく静かに休ませてあげます。可愛いあまりに、家族全員で撫で回したり、抱いたりしたいところですが、そこをぐっと我慢しましょう。

子犬が眠るようなら、静かに寝かせてあげます。もしトイレをしそうな素振りがあったら、トイレに誘導してあげましょう。この時、抱いてトイレに移動するより、なるべくなら誘導してトイレに行かせるようにしたほうがトイレトレーニングにもなるのでお勧めです。抱いてしまうと、それが刺激となって逆にトイレを我慢してしまったり、トイレの場所を認識しにくくなったりすることもあります。トイレが上手にできたらたくさん褒めてあげてください。

子犬は平均的に1日16~18時間くらいは眠るものです。ただし、この間ず~っと眠っているわけではなく、1~2時間眠ったら起き出したりを繰り返します。参考までに『ダンバー博士の 子犬を飼うまえに』(イアン・ダンバー著/レッドハート株式会社)によれば、子犬の膀胱がオシッコで満たされる時間は、生後3週齢で45分、生後12週齢で90分、生後18週齢で2時間となっています。子犬は眠りから覚めるとオシッコやウンチをしたがるので、トイレに誘導してあげましょう。
 

家の中に少し慣らす

トイレが済んだら、サークルから出して部屋の中を少し探検させてあげましょう。この時、まだトイレのしつけが不完全ですからサークルになるべく近い範囲で遊ばせたりします。この範囲を、トイレトレーニングの進み具合に従って徐々に広くしていきます(詳しくは、「犬のトイレ オシッコ・ウンチのしつけ方」参照)。
 

子犬が落ち着いたら食事を与えてみる

子犬が落ち着いたようなら、食事を与えてみます。食事内容を急に替えるとお腹を壊したりして体調を崩すこともありますから、子犬がそれまで食べていたものと同じものを与えるようにします。食事が済むと、たいていトイレをしたがりますので、サークルの中で食事を与えるか、食後はトイレに誘導するといいでしょう。

その後、子犬はまた眠るかもしれませんし、遊びだすかもしれません。眠る→起きる→トイレ→遊ぶ→トイレ→食事→トイレ……と同じようなサイクルを繰り返していきますので、かまい過ぎない程度に見守ってあげましょう。
 

体のどこでも触れるように慣らす

柴犬の子犬
無理のない範囲でなるべく多くの「いい体験」をさせてあげたい。
数日経ち、子犬が徐々に落ち着いてきたら、体のどこを触っても大丈夫なように慣らしていきましょう。爪切り、歯磨きや耳掃除など、日常のお手入れをする際にも、動物病院での診察の際にも、どこを触られても平気なようにしておくことは大切です。

といっても、いきなりあちこち触ったのでは子犬も緊張してしまうかもしれません。口の中や歯を触っても大丈夫なようにするには、最初は指先で唇に沿ってそっと撫でてみるだけ、次に指先を一瞬口の中に入れて前歯に触ってみる、少しずつ奥歯のほうにずらしてみる、指を入れている時間を少しずつ長くしてみる……などというふうに段階を追って慣らすようにしましょう。最終的に、体のどこを触っても大丈夫なようにしていきます。犬がわりと嫌がるものの一つが爪切り。爪切りでいきなり爪をカットするより、その前に指先で爪の先をちょっと撫でてみる、爪を一本一本触れるようにする、足先全体を触れるようにする……というように、少しずつ足に触られることに慣らしてから爪切りをしたほうが馴染みやすいと思います。
 

いろいろな物・人・音・環境に慣らす

ここで「社会化」の話を思い出してください。いろいろなものに慣らせたい時期です。生後10週齢くらいからは、本格的な散歩デビューとはいかずとも、抱いたまま家の周りを歩いてみたり、子犬が嫌がらないようであればご近所の方に協力してもらって撫でてもらったり、家の外の環境にも少しずつ慣らしていくようにします。まだワクチンが不安定な時期ですので、外に連れ出すタイミングは一応獣医さんに相談してみるといいですね。

室内に目を向けると、掃除機やドライヤーなど犬が嫌いになりがちな物もあります。最初はそのそばで遊ばせる、1~2秒音を出してみる、大丈夫そうだったら徐々に音を出す時間を延ばす、掃除機やドライヤーを動かしてみる……などというふうに、段階を追って慣らしていくといいでしょう。また、本格的な散歩デビューにそなえて、室内でかまいませんので短い時間から徐々に首輪やリードにも慣らしていきます。

獣医師であり、動物行動学者、ドッグトレーナーでもあるイアン・ダンバー博士は、子犬が家に来てから1ヶ月の間に100人の人に会うといいと言います。それだけ「いい経験」が必要だということ。ただし無理強いは禁物。これも大事です。かえってトラウマを作って問題行動を起こす犬になってしまうかもしれません。

子犬育ての心の準備はできましたか? さまざまなよい経験を通して、いい子に育てられるかどうかは、飼い主さんの努力次第です!

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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